東京都が水素ステーション(水素充填所)への新規補助金を2025年度から廃止する方針を固めたことが、複数の関係者への取材で明らかになった。都はこれまで、燃料電池自動車(FCV)の普及に向けて水素ステーションの整備費用の一部を補助してきたが、方針を転換する。
補助金廃止の背景
都は現在、水素ステーション1基あたり最大で建設費の半分、約2億円を補助してきた。しかし、都内の水素ステーションは2024年時点で約20カ所にとどまり、FCVの普及台数も目標を大きく下回っている。都は「民間事業者による自立した事業運営を促すため」と説明している。
都の担当者は「補助金に依存しない持続可能なビジネスモデルへの移行が必要」と述べている。
FCV普及への影響
水素ステーションの整備が停滞すれば、FCVの利便性が低下し、普及にさらにブレーキがかかる可能性がある。現在、都内で販売されているFCVはトヨタの「MIRAI」やホンダの「クラリティ」など限定的で、2023年度の新車販売台数は全国で約1,000台と低迷している。
業界関係者からは「補助金廃止で水素ステーションの新設が難しくなり、FCV普及の足かせになる」と懸念の声が上がる。
国の動きと比較
一方、国(経済産業省)は2024年度も水素ステーションへの補助金を継続する方針で、東京都の判断は異例だ。都は「国の補助金を活用すれば民間事業者の負担は軽減される」としているが、事業者からは「国の補助だけでは採算が合わない」との指摘もある。
今後の見通し
東京都は2025年度からの補助金廃止に先立ち、2024年度までの既存案件については補助を継続する。また、都は水素ステーションの代わりに、水素供給の効率化やFCV以外の水素需要開拓に注力する方針だ。
専門家は「水素社会の実現には、補助金だけでなく、規制緩和や技術革新など総合的な政策が必要」と指摘している。



