パスポート手数料値下げと出国税引き上げの概要
2026年7月1日から、パスポート取得時の手数料が引き下げられる一方、出国税(国際観光旅客税)が現在の1000円から3000円に引き上げられる。この変更により、旅行者の負担は一見すると相殺されるように見えるが、実際には出国税の増額分が大きく、頻繁に海外旅行をする人ほど負担増となる。
出国税引き上げの詳細と駆け込み対策
出国税は2026年7月1日以降の出国から適用される。ただし、同日以降の出国であっても、6月30日までに発券済みの航空券や乗船券については、原則として従来の1000円が適用される。そのため、6月30日までに購入すれば「駆け込み」で安く済ませることが可能だ。しかし、予約・発券後に便変更などで再発券が発生した場合、差額の2000円が追加徴収される。また、乗り継ぎ客(日本入国後24時間以内に出国する場合)、天候などで日本に戻ってきた国際線旅客、2歳未満の幼児などは従来通り対象外となる。
出国税の歴史と引き上げの経緯
出国税は2019年1月に導入された。その後、石破茂政権下でも引き上げの動きはあったが、本格化したのは2025年秋以降だ。2025年9月30日、当時首相就任前の高市早苗氏が自民党総裁選の討論会で「オーバーツーリズム対策費に国際観光旅客税を3000円に引き上げてでも使いたい」と発言。同年10月には自民党のプロジェクトチームが引き上げを求める緊急提言を行った。当初はビジネスクラス以上で5000円徴収する案もあったが、航空会社の事務負担が大きいとして見送られた。
税収の使途とパスポート手数料値下げ
2025年12月26日、政府は観光立国推進閣僚会議で出国税の使途に関する基本方針を決定。2026年度の税収は前年度比約2.7倍の1300億円を見込む。使途は「快適に旅行できる環境の整備」「日本の多様な魅力の情報発信強化」「地域の文化や自然を活用した観光資源整備」などで、観光庁のほか文化庁や外務省などの事業費にも充てられる。また、負担増への配慮から、パスポートの申請・取得手数料の引き下げも同時に行われる。
「入国税」論議と誤解
出国税について「なぜ入国税にしないのか」という意見があるが、これは誤解に基づく。入国した外国人はほぼ全員が出国し、出国した日本人はほぼ全員が帰国するため、入国税と出国税は実質的に同じ意味となる。また、日本のビザ発行手数料も大幅に値上げされる予定で、外国人旅行者にとっては二重の負担増となる可能性がある。



