毎日1万歩は不要?80歳でも脳が若い人の歩数とは【2026年6月BEST】
毎日1万歩は不要?80歳でも脳が若い人の歩数

2026年6月にプレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト3のうち、老後・健康部門第3位は「毎日1万歩もウォーキングする必要はない…最新研究で分かった『80歳でも脳が若い人』に共通する歩数」だった。

同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターの米井嘉一氏は、「運動不足の人が急に長距離ウォーキングを始めても長続きしない。若さと健康を維持するなら、まずは毎日歩く習慣を身につけるといい」と述べている。

運動が脳に与える影響

運動は脳にも大きな影響を与える。これまでの研究で、運動をすることで記憶力や学習能力がアップしたり、気分が安定したり、認知症の予防につながることがわかっている。運動をすると「BDNF」(脳由来神経栄養因子)という物質が脳の中で盛んに分泌される。BDNFはたんぱく質の一種で「脳の栄養分」といわれ、神経細胞の新生を促すとともに、シナプスの数を増やし、シナプス間の結合も増強させて、神経ネットワークの形成や発達を促進する働きがある。

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血液中のBDNF量と認知機能との関係を調べた研究でも、BDNFの濃度が高いほど記憶力や学習能力などの評価スコアが高くなるなど、認知症予防に必要不可欠な存在とされる。BDNFの量は65歳以上になると加齢とともに低下するが、運動によってBDNFの分泌量低下を防ぐことができることもわかっている。

また、運動にはノルアドレナリンやドーパミン、セロトニン、エンドルフィンといった思考や気分に関わる神経伝達物質の分泌を促す効果がある。さらに、記憶を司る海馬は加齢とともに萎縮するが、運動によって食い止められることがいくつかの研究で明らかになっている。

30代より脳が若い80歳の秘密

最近の研究で、習慣的に運動をすることでアミロイドβが脳内に蓄積されるのを防ぎ、アルツハイマー型認知症から脳を守ることがわかってきた。米井氏の研究グループでも、実験で確認している。

脳には認知症の原因となるアミロイドβを分解・排出するクリアランス機能がある。この働きを示す指標のひとつが「アミロイドβ 40/42比」だ。アミロイドβにはアミノ酸が40個つながった「β 40」と、42個つながった「β 42」がある。β 42は脳の中で固まりやすく、アルツハイマー型認知症の人の脳では特に多くたまっている。健康な人ではβ 40とβ 42の割合はおよそ9:1だが、β 42の比率が高いほど、老廃物を排出する力(クリアランス機能)が弱まり、認知症リスクが高くなるといわれている。

研究グループが主催する「健法塾」では、ウォーキングを中心とした健康づくりを続けている。参加者(80歳前後)と同志社大学の教職員(30〜60代)を比べたところ、平均で健法塾生のほうがβ 42の比率が低く、つまり脳のクリアランス機能が高いことがわかった。年齢を考えれば、むしろ「脳が若い」といえる結果だ。健法塾生の方々は、毎日7000〜8000歩ほど歩いている。

高齢者の目安は「1日6000歩以上」

米井氏は、高齢者の目安として「1日6000歩以上」を推奨している。まずは1日15分、1000歩からで良いとし、特別な技能もいらない運動方法としてウォーキングを勧めている。また、足腰や体幹を鍛えたいなら砂浜がおすすめだとしている。

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