EVシフト加速で自動車業界再編へ、ガソリン車部品メーカー淘汰の現実
EVシフト加速で自動車業界再編へ、部品メーカー淘汰の現実

世界的なEV(電気自動車)シフトの加速に伴い、自動車業界ではかつてない再編の波が押し寄せている。特にガソリン車向け部品を主力としてきたサプライヤーは、需要減少による淘汰の危機に直面しており、各社は生き残りをかけた事業転換を迫られている。

部品メーカーに迫る構造転換の波

自動車の電動化が進むにつれ、エンジンやトランスミッションなど従来の内燃機関関連部品の需要は急減している。一方で、モーターやバッテリー、インバーターといったEV向け部品の市場は急速に拡大しており、対応が遅れた企業は事業存続の岐路に立たされている。

ある大手部品メーカーの幹部は「これまで培ってきたエンジン技術が数年後には価値を失う可能性がある。全く新しい技術への投資が必要だが、資金調達も容易ではない」と語る。実際、多くの部品メーカーは研究開発費の負担増に悩まされており、M&Aや提携による生き残り戦略が活発化している。

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業界再編の兆しと具体的事例

すでに国内外で再編の動きが顕在化している。例えば、独部品大手コンチネンタルは内燃機関部品事業の分離・独立を発表。独ZFは米部品大手WABCOを買収し、商用車の電動化技術に注力する方針を示した。

国内でも、デンソーはEV向けの熱管理システムやパワー半導体に経営資源を集中。アイシンはトランスミッション事業の縮小を進め、EV向けのeアクスル(電動駆動モジュール)の開発を加速している。これらの動きは、ガソリン車向け部品事業の縮小とEV関連事業へのシフトが加速していることを物語っている。

中小サプライヤーは淘汰の危機

大手部品メーカーが対応を急ぐ一方、中小サプライヤーはより深刻な状況にある。EVシフトに必要な多額の設備投資や技術開発を自前で賄う余力は乏しく、取引先の変化に対応できない企業は受注減少に直面する。

業界団体の調査によれば、自動車部品サプライヤーの約3割が今後5年以内に事業継続が困難になる可能性があるという。特に、エンジン部品や排気系部品、燃料系部品など、ガソリン車に特化した製品を扱う企業は、売上高の急減に見舞われている。

ある中小部品メーカーの社長は「取引先からEV関連部品の引き合いが来ても、技術も設備もない。銀行融資も厳しく、このままでは数年後に倒産もあり得る」と危機感を募らせる。

政府の支援と企業の生き残り戦略

こうした状況を受け、経済産業省は中小サプライヤーの事業転換を支援するための補助金制度を拡充する方針だ。2023年度補正予算では、EV関連技術の開発や生産設備の導入に対して最大10億円の補助金が支給される。

また、業界団体では異業種連携の推進や、複数の中小企業が共同でEV部品の受注を目指すコンソーシアムの形成が進められている。ある業界関係者は「生き残るためには、単独ではなく連携して新しい技術を獲得する必要がある。オープンイノベーションが鍵になる」と指摘する。

EVシフトがもたらす雇用への影響

部品メーカーの淘汰は雇用にも大きな影響を及ぼす。自動車産業は裾野が広く、関連雇用は約550万人に上る。このうち、エンジンやトランスミッションなど内燃機関関連の部品製造に従事する労働者は数十万人規模とされ、彼らの再教育や配置転換が急務となっている。

自動車総連の試算では、EVシフトが本格化した場合、2030年までに約10万人の雇用が失われる可能性がある。一方で、バッテリーやモーター、充電インフラ関連では新たな雇用が創出される見込みだが、スキルのミスマッチが課題となりそうだ。

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ある労働組合の幹部は「従業員のスキルをEV関連技術に転換するための研修制度の拡充が不可欠。企業と行政が連携して雇用のセーフティネットを構築すべきだ」と訴える。

自動車業界の未来図

EVシフトは自動車業界全体の構造を根本から変えつつある。ガソリン車向け部品メーカーの淘汰は避けられない現実だが、同時に新たなビジネスチャンスも生まれている。部品点数が少なくなるEVでは、従来のサプライチェーンが大きく変わり、新たなプレイヤーが参入する余地も広がっている。

例えば、IT企業や電機メーカーが車載ソフトウェアや半導体分野で存在感を増しており、自動車部品業界の地図は大きく塗り替えられようとしている。各企業は、自社の強みを活かしながら、いかにして変化に対応するかが問われている。