建設費の高騰が止まらない。その原因として資材価格の高騰が注目されがちだが、実はそれ以上に深刻なのが「施工能力不足」だ。人口減少と高齢化に加え、週休二日制の導入が現場の稼働日を減らし、建設会社は人手不足に拍車がかかっている。このままでは再開発も公共工事も計画通りに進まなくなる恐れがある。
建設技能者の高齢化とリタイア加速
建設業では、人口減少と高齢化が進む中で、高齢者や外国人労働者の雇用でなんとか人材を確保してきた。しかし、2020年代に入り、団塊世代の建設技能者が後期高齢者となり、続々とリタイアしている。これにより人手不足にさらに拍車がかかっている。
さらに、建設業界は週休二日制導入に向けて、2019年度から「4週8閉所(4週のうち8日間は現場作業所を閉じる)」の取り組みを開始。この取り組みはグラフが示すように浸透しており、「現場の稼働日が減った影響も大きい」と建材メーカー首脳は指摘する。
ゼネコン危機が残した後遺症
建設業の人手不足は、1997年のゼネコン危機からリーマンショック後の2010年までの14年間、建設投資額が減少したことが大きく影響している。名目建築投資額は1996年の45.8兆円から2010年の22.0兆円に半減。建築着工床面積も2.6億平方メートルから1.2億平方メートルに縮小した。さらに、小泉純一郎政権時代の公共事業費削減で、名目土木投資額も2001年の30.5兆円から2007年には20兆円を割り込んだ。
国内建設投資の急激な減少により、受注競争が激化し、安値受注が横行。供給過剰となったゼネコンではリストラが始まり、立場の弱い建設技能者にしわ寄せが及んだ。賃金低下などの処遇悪化を招き、新規雇用も絞られた。2010年頃には、時給500円の「ワンコイン大工」まで登場する事態となった。
需要回復に人材確保が追いつかない
製造業では需要に合わせて工場・設備などの生産調整が行われるが、建設業のような労働集約型産業では人員を削減するしかない。その結果、需要が回復しても人材の確保・育成には時間がかかり、簡単には元に戻らない。この後遺症が建設業を苦しめている。
大手ゼネコンは「デフレ前提型」の見積もりから脱却しつつあるが、施工能力不足は依然として深刻だ。建設費高騰の背景には、資材高だけでなく、こうした構造的な人手不足が横たわっている。



