AIブームで加速するクリーンエネルギー争奪戦、マレーシア先住民が犠牲に
AIブームの裏でマレーシア先住民が犠牲に

世界的なAIブームにより、データセンターの建設が各地で加速している。グーグル、アマゾン、マイクロソフト、メタの米IT大手4社は2025年、データセンター設備投資に総額4100億ドル(約66兆円)を投じ、2026年には最大7250億ドル(約116兆円)に達する見通しだ。

しかし、最大の課題は建設後の電力と水の供給である。データセンターは24時間365日稼働するため、安定した電力と冷却用水が不可欠だ。AI利用による電力消費は大きく、ChatGPTへの1回の質問で約2.9Whを消費し、従来のGoogle検索の約10倍に相当する。

データセンター電力需要の急増

国際エネルギー機関(IEA)の報告書「エネルギーとAI」によると、データセンターの電力消費量は2024年の415TWhから2030年には945TWhへ倍増する見込みで、これは日本の総電力消費量に匹敵する。

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IT大手は再生可能エネルギー100%を目標とする国際イニシアティブ「RE100」に参加しており、安価でクリーンな電力調達が最優先事項となっている。ESG評価や機関投資家からの圧力も背景にある。

マレーシア・サラワク州への注目

こうした中、マレーシアが主要投資先として浮上。2024年だけでアマゾン、グーグル、マイクロソフトの3社が計169億ドル(約2.7兆円)を同国のデータセンター・クラウドインフラに投資した。

特に東マレーシアのサラワク州が注目されている。同州はマレーシアのLNG輸出の約9割を産出し、既存の3つのメガダム(バクン、ムルム、バタン・アイ)で合計約5900MWの発電能力を持ち、これは日本の大型原発5~6基分に相当する。水力発電は天候に左右されず、安定供給が可能だ。

サラワク州は2035年までに再生可能エネルギー発電容量を4倍の15GWにする目標を掲げ、新たなダム建設計画を3河川で確定。州営電力会社「サラワク・エナジー」はさらに5つの水力発電プロジェクトの提案募集を発行している。

クリーン電力の裏で起きる強制移住

しかし、こうした開発の影で先住民が犠牲になっている。ダム建設に伴い、先住民コミュニティが強制移住を余儀なくされ、補償も不十分だ。ジャーナリストの神山かおり氏は「わずかな補償すら履行されないケースが多い」と指摘する。

AIブームがもたらすクリーンエネルギー需要の高まりが、環境や人権に新たな課題を投げかけている。

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