EVバッテリーリサイクル、中国が世界をリードする理由
EVバッテリーリサイクル、中国が世界をリード

中国は電気自動車(EV)用バッテリーのリサイクル分野で世界をリードしている。2023年の使用済みバッテリー回収量は約10万トンに達し、世界全体の50%以上を占めた。これは中国政府が2018年に施行した「動力電池回収利用管理暫行弁法」などの規制と補助金政策が奏功した結果だ。

リサイクル市場の急成長

中国のバッテリーリサイクル市場は急成長しており、2025年には市場規模が約200億元(約4000億円)に達すると予測されている。現在、中国国内には約200社のリサイクル企業が存在し、その多くが華東地域に集中している。代表的な企業には、寧徳時代(CATL)の子会社である広東邦普循環科技や、華友コバルトなどがある。

リサイクル技術では、湿式製錬法と乾式製錬法が主流だ。湿式製錬法では、使用済みバッテリーを酸で溶解し、コバルト、ニッケル、リチウムなどの有価金属を抽出する。回収率はコバルトで95%以上、ニッケルで90%以上に達する。一方、乾式製錬法は高温でバッテリーを溶かし、金属を分離する方法で、エネルギー消費は多いが、前処理が不要という利点がある。

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政府の強力な推進力

中国政府は2018年に「動力電池回収利用管理暫行弁法」を施行し、自動車メーカーに対して使用済みバッテリーの回収責任を課した。さらに、2022年には「新能源汽車動力蓄電池回収利用管理弁法(試行)」を発表し、リサイクル業者の登録制度を導入した。これにより、無許可のリサイクル業者が排除され、業界の透明性が向上した。

また、補助金制度も整備されている。例えば、リサイクル企業が一定量以上のバッテリーを回収した場合、1キログラムあたり最大10元(約200円)の補助金が支給される。この政策により、リサイクル事業の採算性が改善され、新規参入が促進された。

環境への影響と課題

バッテリーリサイクルの拡大は、環境負荷の低減に貢献している。使用済みバッテリーを放置すると、重金属や電解液が土壌や地下水を汚染する恐れがある。しかし、リサイクルによりこれらの有害物質を適切に処理できる。中国環境保護省の試算によると、2023年のリサイクル活動により、約50万トンのCO2排出削減効果があったという。

一方で、課題も残る。リサイクル工程で使用する酸や有機溶剤による二次汚染のリスクや、リチウムの回収率が依然として低い(約60%程度)ことが指摘されている。また、バッテリーの設計が多様化しており、解体の自動化が難しいという技術的課題もある。

国際的な波及効果

中国の成功は他国にも影響を与えている。欧州連合(EU)は2023年に「バッテリー規則」を採択し、2030年までに使用済みバッテリーの70%をリサイクルする目標を掲げた。また、米国でもインフレ抑制法(IRA)に基づき、バッテリーリサイクルへの税額控除が導入された。

国際エネルギー機関(IEA)の報告書によれば、世界のバッテリーリサイクル市場は2030年までに年率20%以上の成長が見込まれている。中国は技術と政策の両面で先行しており、今後もリーダーシップを維持すると予想される。

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