大阪大学発の新興企業「レイメイ」(大阪市)は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した角膜の細胞シートを用いた重篤な眼疾患の治療に関する治験を開始し、第1例目の手術を7月9日に阪大病院(大阪府吹田市)で実施したと発表した。同社は治験で計12人に移植手術を行う計画で、結果が良好であれば、2028年にも細胞シートの製造販売承認を国に申請する方針だ。
治験の対象疾患と手術の詳細
治験の対象は「角膜上皮幹細胞疲弊症」の患者。これは、黒目の表面を覆う角膜の細胞が減少し、角膜の透明性が損なわれて視力が低下する疾患で、進行すると失明に至る可能性がある。治験では、iPS細胞を透明な角膜の細胞に分化させ、円形のシート状に加工して患者の目に移植する。
同社の科学技術顧問を務める西田幸二・阪大教授(眼科学)によると、第1例目は40歳代の男性に対して行われ、手術は約1時間で終了したという。手術は順調に進み、現在経過観察中である。
今後の計画と期待
治験は今年12月末までに、阪大病院を含む6施設で実施される。術後1年間の経過観察により、有効性と安全性が検証される予定だ。西田教授は「角膜の透明性の回復が十分に見込める方法で、移植後の拒絶反応も起こりにくい。承認に至ることを期待している」と述べている。
iPS細胞由来の角膜シートが実用化されれば、角膜移植のドナー不足解消に大きく貢献すると期待される。現在、角膜移植はドナーからの提供に依存しており、待機患者が多い。レイメイの技術は、拒絶反応のリスクが低く、安定した供給が可能なため、新たな治療選択肢となる可能性がある。



