国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、最新の報告書を公表し、地球温暖化を産業革命前から1.5度に抑えるためには、2030年までに世界の温室効果ガス排出量を2019年比で約半分に削減する必要があると警告した。現在の各国の対策では不十分であり、さらなる大幅な削減が不可欠だと指摘している。
報告書の主な内容
IPCCの第6次評価報告書の第3作業部会の報告書は、気候変動の緩和策に焦点を当てている。報告書は、2010年から2019年の世界の温室効果ガス排出量が過去最高を記録したと指摘。2019年の排出量は、二酸化炭素換算で590億トンに上る。このままでは、今世紀末の気温上昇が3度を超える可能性が高いと予測する。
報告書の共同議長であるジム・スキア氏は、「私たちは岐路に立っている。今取る決断が、将来の気候に大きな影響を与える」と述べ、迅速な行動の必要性を強調した。
必要な削減量と対策
1.5度目標達成には、2020年から2030年の間に排出量を毎年約7%ずつ削減しなければならない。これは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる2020年の一時的な減少幅に匹敵する。しかし、排出量はすでにパンデミック前の水準に戻りつつある。
報告書は、再生可能エネルギーへの転換、エネルギー効率の向上、森林破壊の防止など、さまざまな対策を提案。特に、石炭火力発電の段階的廃止と、電気自動車の普及が重要だとしている。
また、二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術や、大気中から直接二酸化炭素を回収する技術(DAC)などの新技術にも期待を示すが、これらの技術はまだ大規模には実証されていないと注意を促す。
各国の対応と今後の課題
2021年の第26回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で、各国は2030年までの排出削減目標を強化したが、それでも1.5度目標達成には不十分だ。報告書は、各国が現在の目標をさらに引き上げ、早急に実施に移す必要があると強調する。
IPCCの議長である李会晟氏は、「私たちは十分な知識と手段を持っている。あとは政治的意思と行動の問題だ」と述べ、各国政府に果断な対策を求めた。
報告書はまた、個人の生活スタイルの変更も重要だと指摘。食生活の見直しや、飛行機の利用を減らすことなどが、排出量削減に貢献できるという。



