山口県下関市立しものせき水族館「海響館」のチームが、フグが目をつむる仕組みが体を膨らませるフグ特有の行動から進化したとする論文を国際学術誌に発表した。50種を超えるフグの仲間を解剖して解き明かした研究で、フグの本場ならではの内容だ。
目をつむる仕組みは「輪状筋」
ほとんどの魚は目をつむることはないが、フグの仲間には目をつむるものがいる。目を閉じる行動は陸上の脊椎動物では一般的だが、魚類では一部のサメやエイ、フグなどでしか知られていない。
しものせき水族館の展示スタッフ、荻本啓介さん(37)は、フグが目をつむる仕組みを展示で解説しようと、飼育するフグ科のコモンフグを詳しく調べた。すると、まぶたを閉じる動きとは全く異なり、巾着袋の口をしぼるようにぎゅっと目の周りの皮膚を収縮させていることがわかった。
この動きを引き起こしているのは、体全体を薄く覆う「皮筋」の一部が目の周りだけ同心円状に発達した「輪状筋」であることを突き止め、2021年に論文で発表した。
51種を解剖し進化の過程を解明
さらに、ハコフグやカワハギ、マンボウなどを含むフグ目の全10科に研究対象を広げ、計51種を解剖し頭部の筋肉を詳しく調べてきた。
その結果、輪状筋はフグ科だけ、皮筋はフグ科とハリセンボン科にしかなかった。この2科は体を膨らませることができるグループで、諸説あるフグ目の進化の系統樹のどの説でも近縁だった。
これらのことから、輪状筋は体を膨らませる行動と関連して進化したと考えられる。



