和歌山県有田川町で30年以上前に発掘されたクモヒトデの化石が、これまでに報告されていない「新属新種」と判明したと、県立自然博物館(海南市)などの研究チームが発表した。化石のレプリカなどが、同館で9月16日まで展示されている。
発掘から30年、新種と特定
同館によると、クモヒトデには基本的に5本の腕があり、ヒトデに似ている。腕の付け根には丸い胴体の「盤」があり、内臓や口が収まっている。深海に生きる種類が多いが、浅い場所で生きているものもある。
福岡県の化石収集家、永島二人さんが1994年、有田川町久野原の白亜紀後期(約7000万年前)の地層から今回の化石を発掘した。2008年に遺族が収集資料を北九州市の博物館に寄贈し、資料整理をしていた14年に学芸員が化石の存在に気づいた。
研究の経緯と命名
クモヒトデ化石の専門家や県立自然博物館学芸課長の小原正顕さん(53)らによる現地調査のほか、国立科学博物館(東京)での化石のCTスキャン(コンピューター断層撮影)を経て新属新種と特定した。永島さんにちなんで「エナコスファルマ・ナガシマイ」と名付けられた。
今回の化石と同じクモヒトデの仲間では、▽ヨーロッパのジュラ紀(約1億8000万年前~約1億6000万年前)の地層から、浅い海での生息と考えられる化石▽静岡県の中新世前期(約2000万年前)の地層から、深海での生息と考えられる化石――の2グループが見つかっている。
進化の歴史を示す証拠
有田川町の化石は比較的深い海の地層から見つかり、地層の年代のほか、形状も2グループの中間となる特徴を持っていた。クモヒトデの進化の歴史がうかがえ、小原さんは「かつては浅い海で生きていたクモヒトデが、やがて深海へとすみかを変えていった『証拠』の一つになる」と話している。
研究成果は論文として、7月に日本古生物学会の科学誌に掲載された。
レプリカ展示の詳細
化石のレプリカはCTスキャンの結果から、実物の3倍の大きさで作製し、構造が見やすいという。自然博物館の第2展示室で展示し、同じ有田川町久野原で見つかったアンモナイトや二枚貝などの化石も並ぶ。問い合わせは同館(073・483・1777)。



