大阪大学などのチームは、複雑な処理を行う際、脳の司令塔とされる大脳前部の「前頭前野」で、最前部の活動が低下し、後方の領域が働いていることをサルの実験で明らかにした。人やサルでは前方ほど高度な認知機能を担うとの定説を覆す結果で、チームは「前頭前野の機能解明につなげたい」としている。
定説を覆す実験結果
前頭前野は、思考や判断などを担う高次な脳部位。特にその最前部が、後方の領域をコントロールする最上位の領域と考えられてきたが、領域ごとの活動を直接計測した研究はこれまでほとんどなかった。
チームは、人と脳の構造が似ているニホンザル4頭を対象に、8種類の実験課題を遂行してもらった。例えば、画面に示された物体から連続して正解を選ぶ課題では、一つ前の正解を記憶しておかないと答えることができない、といった難しい内容だった。サルに取り付けた装置で約5000個の神経細胞の活動を記録した。
最前部は内的思考に使用か
その結果、サルが課題に取り組んでいる間、前頭前野の最前部は安静時よりも活動が低下。後方の領域で活発となり、ここで処理していたとみられる。
チームの渡辺慶・准教授(行動生理学)は「予想と逆の結果で驚いた。最前部は、瞑想など内的な思考に使われている可能性がある」としている。論文は国際学術誌に掲載された。
細胞レベルでの解明に意義
南本敬史・量子科学技術研究開発機構次長(神経科学)は「人の脳を磁気共鳴画像装置(MRI)で観察しても活動部位は大まかにしかわからず、今回、細胞レベルで調べた意義は大きい。最前部の機能の解明も待たれる」と話している。



