国連環境計画(UNEP)は2日、地球温暖化により今後数年以内に、産業革命前からの気温上昇が1.5度を超える見込みだとする報告書を発表した。1.5度は世界で合意した目標だが、このままでは今世紀末までに3度近く上昇する。
「オーバーシュートの時代」に突入
報告書は、世界が初めて本格的な「オーバーシュート(超過)の時代」に入ったと位置づけた。1.5度を超えるかどうかではなく、どこまで超えるか、何年間超え続けるかを考える段階になった。
温暖化対策の国際ルール「パリ協定」では、産業革命前からの気温上昇を「2度より十分低く、できれば1.5度に抑える」としており、1.5度は事実上の国際目標だ。
現状と今後の見通し
報告書によると、産業革命前からの気温上昇は約1.4度に達している。24年には気温上昇が1.55度となり、初めて単年で1.5度を超えた。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)では、年ごとの気温変化はばらつきが大きいため20年間の平均で長期傾向を分析している。単年で超えても目標が破られたことにはならない。それでも、世界気象機関(WMO)は、2026~2030年の5年間平均気温が1.5度を超える確率を75%としている。
1.5度に戻すシナリオ
報告書では、メタン対策や脱化石燃料を進め、上昇を1.8度程度までに抑えれば、大気中から二酸化炭素(CO2)を取り除く技術を大規模に導入することで、1.5度に戻すことができるとするシナリオを示した。
報告書の記者説明会で、UNEPのインガー・アンダーセン事務局長は、1.5度目標の重要性を強調。「目的地は変わっていない。1.5度のより安全な気候に戻ることだ」と話した。



