日本女子大学附属中学校・高等学校(川崎市)で8月17日、美術科の課外講座「草木染め」が行われ、中学1年生16人が参加した。校地内の「西生田の森」で葛の葉を採取し、染料づくりから染色までを体験した。
森で材料を調達し、染料づくり
講座は美術科の芝咲耶子教諭が指導し、家庭科の菊池菜々世教諭がサポートした。大量の葉を煮る作業があるため、大火力のコンロがある家庭科の実験実習室を使用した。
午前9時半に集合した生徒たちは、敷地内の「西生田の森」で葛の葉を1時間ほどかけて採取。芝教諭は「葛の葉はこの時期たくさん自生しますが、新鮮でないときれいな色が出ません。学校の敷地に森がある本校ならではの材料です」と話す。
採った葉は大鍋に入れ、水と重曹を加えて煮沸。その間に生徒たちは型染め用の型紙作りに取り組んだ。自作のデザイン画を型紙に写し、カッターナイフでくり抜き、15×20センチのシルクの巾着袋の上に置いて染色用のりを刷り込んだ。
染液と媒染液で色を追求
のりを定着させるため屋外で巾着袋を干し、その間に両教諭が染料の煮沸を繰り返した。芝教諭は「葛の葉の場合、煮る回数が多いほど緑色が鮮やかになるので、最後の4回目の染液を巾着袋の染色に使います」と説明した。
午後1時から染色作業が始まり、生徒は巾着袋を染液に沈め、角材で気泡を抜いて染めムラを防いだ。その後、媒染液に移して15分ほど待ち、発色を良くして色を定着させた。この作業を繰り返し、納得のいく染め色を追求した。
完成した作品を前に、生徒たちは「濃くなった」と喜んだり、「色が浅い方がおしゃれ」と話したりと様々。のりの乾燥不足で模様が不鮮明になるケースもあったが、出来も含めて楽しんでいた。最後に芝教諭が家庭での蒸し方や洗濯時の注意点を伝え、午後2時半頃に講座は終了した。
「希望者対象プログラム」の取り組み
同校は各教科の担当教員が企画する「希望者対象プログラム」を長年実施している。広報部主任の森田真教諭は「学んだ単元と近い時期に『実物』に触れる機会を設け、理解や興味を深めるのが主な狙いです」と説明する。社会科では鎌倉時代の史跡見学や裁判所での傍聴体験、理科では天体観望会、技術家庭ではプログラミング講座などを実施している。
今回の「草木染め」は、中1生が1学期に「西生田の森」の木をスケッチして木版画に仕上げた授業に続く、森の活用機会だ。芝教諭は「『森』との様々な関わりを通して『身近な環境にたくさんの面白いことや発見がある』と知り、創作の幅を広げてほしい」と語る。
参加した仲田紗和子さんは「小学生の時、化学染料を使った『藍染め』をやりましたが、自分で採った自然の葉を使うのが楽しく、ワクワクしながら作業しました」と話した。型紙は正三角形を重ねたデザインにし、数学と理科が好きで量子をイメージして考えたという。「のりが少し剥がれて形が崩れましたが、家でまた挑戦したいと思います」と語った。
今後のプログラム構想
森田教諭は今後のプログラムについて「探究学習と結びついた内容にも力を入れたい」と抱負を語る。来年度から中高の組織を統合し、6年間のステップを踏まえて探究学習を充実させる予定で、教科横断型のプログラムを用意したいとしている。2024年度に行った「ふくしまホープツーリズム」のような、社会科や理科の枠を超えて防災やボランティア、平和教育に広がるテーマも構想している。
「西生田の森」を活用した教科横断学習も発展させる考えで、「学校内にこうした環境が整っているからこそできることも数多くあります。これまでと同様に受験教科以外の実技系にも力を入れ、幅広い『生きる力』を養っていきます」と語った。