いすゞベレル、日本初の量販ディーゼル乗用車の軌跡と販売の苦戦
いすゞベレル、日本初の量販ディーゼル乗用車の軌跡

いすゞ自動車のクルマづくりや歴史を学べる「いすゞプラザ」では、時代を彩った名車の数々を見ることができます。今回は、いすゞの独自開発乗用車第1号となった6人乗りの高級セダン「ベレル」を取り上げます。

日本初の量販ディーゼル乗用車

ベレルは1962年(昭和37年)に発売となった乗用車です。エンジンはガソリンとディーゼルがあり、写真の展示車両はディーゼルエンジン搭載モデルです。このクルマが日本初の量販ディーゼル乗用車であり、昭和37年度の「日本機械学会賞」を受賞しています。

フォーマルな4ドアセダンスタイルながら、当時では珍しい三角形のテールランプを採用するなど、特徴的なデザインも話題になりました。前後のベンチシートに6人がゆったりと座れるクルマで、タクシーとして利用されるケースも多かったといいます。

DL201型ディーゼルエンジンの性能

最大の特徴であるDL201型水冷直列4気筒2.0Lディーゼルエンジンは最高出力55PS、最大トルク12.3kgmを発生。トラック用ディーゼルエンジンのメーカーとして、いすゞが知見を盛り込んだエンジンでした。燃料噴射ポンプはボッシュ製。シリンダーブロックやクランクシャフト、コンロッドなどには最高級の素材を使用していました。

このディーゼルエンジンは、点火装置を必要としないシンプルな構造による高い信頼性と、軽油を使用する優れた経済性が評価され、冒頭で触れた日本機械学会賞の受賞につながりました。

販売面では苦戦も、後継モデルへ

ベレルのボディサイズは全長4,485mm、全幅1,690mm、全高1,493mm、ホイールベースは2,530mm、重量は1,230kg。すでに世に出ていたトヨタ自動車「クラウン」や日産自動車「セドリック/グロリア」など、国産大型乗用車に対抗すべく、いすゞが開発した意欲作でした。

「ディーゼル乗用車」のパイオニアとして日本の自動車史に名を残したベレルですが、エンジンの振動が大きかったこと、ATやフロアシフトの設定がなかったこと(全車コラム式MT)などが影響し、販売面では苦戦を強いられます。1966年には縦型4灯ヘッドライトと一般的な横長テールライトを装備したマイナーチェンジモデルが登場しましたが、1967年には生産を終了。後継の「フローリアン」にバトンタッチしました。