海洋研究開発機構などは24日、今年2月に南鳥島(東京都)沖で試掘して回収に成功したレアアース(希土類)を含む泥の分析結果を公表した。泥に含まれていたレアアースのうち、ハイテク製品に不可欠なイットリウムなど、中国への依存度が高い「中・重希土類」が総重量中の5割強を占めていた。
試掘は、内閣府の大型研究プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環で行われた。南鳥島沖の排他的経済水域(EEZ)で同機構の地球深部探査船「ちきゅう」からパイプを延ばし、水深約5600メートルの海底から約50トンの泥を引き揚げた。
中・重希土類の内訳
泥に含まれていたレアアースの内訳を調べた結果、生産地域が中国に集中している中・重希土類が総重量中の約54%を占めていた。主な内訳は、半導体の製造などに欠かせないイットリウムが29.9%、原子炉を制御する材料などに利用されるガドリニウムが4.9%、電気自動車のモーターなどに使われるジスプロシウムが4.6%だった。
中国以外にも比較的広く分布する軽希土類は総重量の約46%を占め、このうち永久磁石の原料として知られるネオジムは18.4%だった。一方、レアアースの総重量や濃度は「今回は採取量が限られ、全体を反映しているかわからない」として公表しなかった。
今後の計画と専門家の見解
同機構などは来年2月の本格的な試掘で、1日最大350トンの泥を回収する方針だ。採算性などを検証し、2028年3月までに報告書をまとめる。SIPの石井正一プログラムディレクターは24日に記者会見し、「大規模な採鉱試験に進むべく準備を加速する。国産レアアース実現に向け、経済性を含めた総合評価が可能となる」と語った。
レアアースに詳しい第一ライフ資産運用経済研究所の嶌峰義清シニア・フェローは「中国の輸出規制で一部産業に供給不安が広がる中、安心材料になる成果だ。商業的な採掘には、採算性が課題となる。まずは試掘の規模拡大や精錬施設の建設を進め、生産技術を確立する必要がある」と話した。
レアアース(希土類)とは
先端産業に不可欠な17種類の金属の元素の総称で「産業のビタミン」とも呼ばれる。中国が世界の採掘量の約7割、精錬量の約9割を握り、日本は輸入量の6~7割を中国に依存する。



