山中伸弥・京都大教授がマウスの皮膚細胞から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作製したと発表してから、11日で20年を迎えた。3月にはiPS細胞を使った2つの治療製品が条件・期限付き承認を受け、創薬でも近年は治療薬候補が相次ぎ見つかっている。だが、医療での実用化はまだ入り口で、これからが正念場だ。
山中氏「長いようであっという間」
「長いようであっという間だった。もう20年たったとは信じられない」。山中氏は7月、産経新聞の取材に応じ、これまでの道のりを感慨深げに振り返った。
山中氏は平成18年8月11日、米専門誌セルでマウスのiPS細胞作製を報告。翌19年には人でも成功し、24年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。医療への応用に向けた動きも加速し、26年には理化学研究所などが、加齢黄斑変性の患者にiPS細胞由来の網膜細胞を移植する世界初の臨床研究を実現。脳や心臓、脊髄などに広がった。
国の支援は約1500億円
国も研究を後押ししてきた。文部科学省によると、ノーベル賞受賞後に進めた再生・細胞医療と遺伝子治療の主要2事業への支援は、令和8年度までに計約1500億円となった。採択課題は延べ398件に上る。
今年3月に承認された治療製品は、パーキンソン病の「アムシェプリ」と重症心不全の「リハート」の2つだ。いずれもiPS細胞由来の再生医療等製品として世界初で、公的保険の対象となった。
創薬でも候補見つかる
患者の細胞で病気を再現して薬を探すiPS創薬でも、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や指定難病FOPで治療薬候補が見つかっている。



