約4500人を10年追跡 発酵食品と健康の関係
ロンドン大学の観察研究で、研究チームは約4500人の男女を10年にわたって追いかけ、チーズやヨーグルトなどの消費量と全員の健康状態を比較した。普段から発酵食品をよく食べる者ほど心疾患や糖尿病にかかりにくく、早期死亡率も低いことがわかった。
納豆、キムチ、ヨーグルトなどの発酵食品は「腸活にいい」とよく言われるが、その効果は腸内環境だけにとどまらない。
古代から続く人類と発酵食品の関わり
人類は大昔から数々の発酵食品を作り、微生物との仲を深めてきた。ハーバード大学のエヴァ・セルフーブは、古代の食生活に関する先行研究を次のようにまとめている。
「旧石器時代の人類は、知らずのうちに発酵食品をたくさん食べていたはずだ(ハチミツ、フルーツ、ベリー類など)。微生物の知識こそなかったが、わたしたちの祖先は、発酵食品や発酵飲料の風味と保存性、さらには精神の高揚と鎮静作用に気づいていた。人類が発酵食品を作り始めた時期はよくわからないが、新石器時代の出土品を分析した結果によれば、1万年前にはフルーツや米などを発酵させた酒を飲んでいた可能性が高い」
古代の人類は、地面に落ちて発酵したフルーツの汁や、微生物が自然に分解した野菜などを食べ、文明が興るよりはるか前から発酵食品と触れ合ってきた。進化医学的にも正しい食品のひとつと言える。
脳機能にも良い影響 カリフォルニア大学の実験
同時期に行われたカリフォルニア大学の研究では、発酵食品で脳機能が改善したとの結果も出ている。女性の被験者に乳製の発酵食品を4週間ほど食べ続けてもらった実験で、有意に脳の活動が活性化し、感情や注意力に関わる機能に向上が見られた。
ほかにも、キムチ、ぬか漬け、納豆、味噌、ザワークラウトといった食品にも似たような報告があり、発酵食品は科学が認めた数少ないスーパーフードのひとつとされる。
大切なのは「幅広いジャンル」を食べること
毎日の食事に取り入れる発酵食品は、好きなもので構わない。納豆でもキムチでもザワークラウトでも、発酵食品であれば腸内環境に良い影響を与える。ただし、特定の食品ばかりを食べないことが注意点だ。納豆やヨーグルト、キムチなど、すべての発酵食品はそれぞれに特有の細菌を持っており、ヨーグルトならサーモフィラス菌、味噌ならハロフィラス菌、キムチならラクトバチルス・プランタルム菌といった具合である。同じものばかりを食べると腸内細菌の多様性が限られてしまうため、できるだけ幅広いジャンルの発酵食品を取り入れることが大切だ。
この内容は『新版 最高の体調』(鈴木祐著/クロスメディア・パブリッシング)から紹介されたものである。



