試験管内でマウスのミニ精巣作成に成功 大阪大学などがES細胞からオルガノイド作製
大阪大学と横浜市立大学などの研究グループは、万能細胞の一種であるES細胞から、マウスの精巣の役割を果たすミニ臓器(オルガノイド)を作製することに成功したと発表しました。この成果は、精子になる細胞を試験管の中で作る基盤技術として、不妊の仕組み解明や絶滅危惧種の保全技術といった応用につながることが期待されています。
卵巣オルガノイドの成功から精巣への挑戦
研究グループは、精巣や卵巣が発生する過程を調べ、再現する研究に長年取り組んできました。2021年には、マウスのES細胞から卵子のもとになる細胞と卵子を支える細胞のもとを作り、それらを混ぜ合わせることで、卵巣の役割を果たすオルガノイドを作製することに成功していました。
しかし、同じ方法でオスの細胞から精巣を作ろうと試みたところ、細胞がメス化して卵巣になってしまうという課題に直面しました。この問題を克服するため、グループはメス化とオス化がどのように進むのかを詳細に調査しました。
メス化を抑えて精巣オルガノイドを作製
研究チームは、メス化を抑制する方法を見つけ出し、ES細胞から精子のもとになる始原生殖細胞と、それを支える細胞を作る技術を開発しました。これらの細胞を混ぜて培養した結果、直径約0.5ミリメートルの精巣オルガノイドが形成されました。
この精巣オルガノイドは立体構造を持ち、精巣としての機能を模倣することが確認されています。この成果は、不妊治療の研究や生殖医学の発展に大きく貢献する可能性があります。
将来の応用と研究の展望
今回の成功は、以下のような幅広い応用が期待されています。
- 不妊の仕組み解明:精子形成の過程を詳細に研究することで、不妊の原因を探る手がかりとなります。
- 絶滅危惧種の保全:希少な動物の生殖細胞を試験管内で作製し、種の保存に役立てることができます。
- 再生医療への応用:将来的には、ヒトのES細胞やiPS細胞を用いた精巣オルガノイド作製にも発展する可能性があります。
研究グループは、この技術をさらに発展させ、生殖生物学や医学の分野で新たな知見を提供していく方針です。また、倫理的な課題にも配慮しながら、社会への貢献を目指すとしています。



