和歌山県内から大阪府南部にかけて患者が集中する極めて希少な遺伝性難病「中條・西村症候群」の病態を、マウスで再現することに成功したと、県立医科大学などの研究チームが発表した。現在、効果的な治療薬はなく、今回のマウスモデルを用いた解析が病態のさらなる解明や治療薬開発につながる可能性がある。
中條・西村症候群とは
同症候群は、幼少期からしもやけのような手の発疹や発熱などの炎症を繰り返す疾患で、全身の脂肪や筋肉が徐々に減少し、急激に進行すると30~40歳代で死亡するケースもある。国内の患者数は十数人と極めて少ないが、海外でも同様の症例が報告されている。1939年に中條敦・東北帝国大学助手が初めて報告し、1950年に西村長応・和歌山県立医科大学助教授が県内の複数症例を紹介した。原因遺伝子は特定されており、2015年に指定難病となった。
研究の詳細
これまでの研究で、特定の遺伝子の特徴を父母ともに持ち、子が双方から遺伝子を受け継ぐことで発症することが分かっていた。研究チームは人工的に同じ遺伝子異常を発生させたマウスを作製し、体内で起きる異常を解析した。その結果、患者と同様に、マウスは高齢になると脂肪が炎症を起こして減少し、体重が増えにくくなる傾向が見られた。また、血液中では炎症を促すタンパク質が増加していた。遺伝子異常のないマウスと比較すると、雄雌ともに若いマウスで生存率が大きく低下し、ウイルスなどの異物を排除する免疫機能の老化も観察された。
治療薬開発への展望
研究チームはこれまでに、患者から作製したiPS細胞(人工多能性幹細胞)を活用し、治療薬の候補を絞り込んできた。今回作製したマウスにその候補薬を与え、生物への効果や安全性を確認し、人への投与が可能かどうかを検討するという。研究成果を発表した原知之・県立医科大学助教(皮膚科学)は「マウスの体内をさらに解析し、患者の炎症の改善につながる薬を見つけていきたい」と述べている。
研究内容をまとめた論文は5月、国際科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。



