ドラマ「リブート」ロケ地のケーキ店にファンが殺到 武蔵村山市が撮影の聖地として注目
東京都心の喧噪から離れた多摩地域・武蔵村山市にあるケーキ店が、にわかに脚光を浴びている。人気ドラマ「リブート」のロケ地になったことをきっかけに、静かな商店街に多くのファンが訪れるようになった。市内では近年、映画やドラマの撮影が相次いでおり、その魅力が制作陣を引きつけている。
創業45年の老舗ケーキ店がドラマの舞台に
ドラマ「リブート」は、TBS日曜劇場で放送中のサスペンス作品だ。松山ケンイチさん演じる洋菓子職人が妻殺害の疑いをかけられ、整形して鈴木亮平さん演じる刑事として人生を再起動する物語。物語の舞台となる洋菓子店「ハヤセ洋菓子店」のロケ地が、武蔵村山市の「シャトー洋菓子店」だった。
このケーキ店は1980年8月に創業して45年余りの歴史を持つ老舗。先代の中山忠さん(84)が始め、現在は2代目の次男・新太郎さん(53)が忠さんとともに店を切り盛りしている。ショートケーキやモンブラン、プリンなど昔ながらの洋菓子が並び、看板商品は地元産うどん粉を加えた「むらやまロール」と、忠さんが手がけるフランス伝統菓子「サバラン」。甘さ控えめで飽きのこない味が評判だ。
ドラマ撮影で連日のにぎわい ファンが記念撮影に訪れる
放送が進むにつれ、店には連日にぎわいが見られるようになった。2月下旬には作品ファンとみられる客が次々と来店。若い夫婦がドラマと同じ構図で写真を撮ろうと、路地沿いの窓で記念撮影をしていたり、都外から来たという男女が作品談議をしながらケーキを買ったりする光景が見られた。
埼玉県入間市の高山絵里子さん(34)は「以前から利用していたが、ドラマで使われたと聞き来店した。一気に有名になってびっくり」と笑顔を見せた。店ではケーキを作るペースを上げ、ドラマ関連のキャップやポスターも展示している。
撮影は「体力勝負」 主演俳優たちも連日訪れる
店にドラマ撮影の打診があったのは昨年初め。制作側から声がかかり、「協力できるなら」と快諾した。4月から7月にかけて撮影が行われ、主演の鈴木亮平さんや松山ケンイチさんらが連日訪れた。新太郎さんの妻・美和さんは「朝早くから夕暮れまで体力勝負だな、と感じた。それでも皆さん優しく接していただいた」と振り返る。
作品内で登場するケーキ「ハヤセショート」を作るため、ドラマ専属のパティシエも来店。新太郎さんはその様子を食い入るように見つめていたという。
武蔵村山市はロケ地として人気 本年度だけで18件の撮影
武蔵村山観光まちづくり協会によると、すずらん通り商店街をはじめ、市内の撮影は本年度、ドラマや映画、ミュージックビデオ、CMなど少なくとも18件に上る。同協会の坂野貴弘さんは「かつてどこにでもあった懐かしい風景が残っている」と指摘。「都会過ぎず不便過ぎない、住みやすい街。リブートのヒットをきっかけに、もっと魅力を広めていく」と話した。
武蔵村山市は狭山丘陵を含む緑豊かな地域で、都内の全26市で唯一、鉄道駅がないことが特徴。しかし、数年後には念願の鉄道駅ができる見込みだ。東京都は多摩都市モノレールを上北台駅(東大和市)から箱根ケ崎駅(瑞穂町)まで延伸する計画で、2034年度の開業を目指している。武蔵村山にも五つの駅が新設される予定で、交通の充実も追い風となり、地域の注目度はさらに高まりそうだ。
レトロな風景が残る武蔵村山市は、制作陣にとって貴重なロケ地となっている。ドラマ「リブート」のヒットをきっかけに、静かな商店街が新たな観光スポットとして注目を集め始めている。



