酒井淳がバッハ無伴奏チェロ組曲を録音、古楽演奏に新たな自由を求める
酒井淳、バッハ無伴奏チェロ組曲録音で古楽に新風

酒井淳、バッハの無伴奏チェロ組曲全6曲を録音で完成、古楽演奏に新たな自由を追求

チェロとビオラ・ダ・ガンバの名手としてヨーロッパの古楽界で長年活躍する酒井淳(50)が、バッハの「無伴奏チェロ組曲」全6曲の念願の録音を遂げた。この作品を「自分の人生経験が鏡のように反映されている」と語る酒井は、演奏の神髄に迫り、古楽演奏の新たな可能性を示している。

無伴奏チェロ組曲を人生の物語として捉える

音楽の神秘を宿した六つの小宇宙は、「すべてのチェロ奏者にとって人生と共にあるライフワーク」だと酒井は強調する。「アコースティックリバイブ」レーベルからリリースされた3枚組みのアルバムは、第1番から順に録音され、それぞれの曲が持つ性格を順番に体験することが重要とされている。

第2番ニ短調の荘重な舞曲サラバンドは、ゆっくりと深いため息を思わせる陰影で描かれ、作曲者が音符に込めた悲嘆の感情に寄り添うかのような表現がなされている。一方、最後の第6番ニ長調では、天高く上っていく歓喜の調べが「録音場所に選んだ教会の天井を突き破るのではないかと感じた」と酒井は語る。第6番だけ5弦のチェロ・ピッコロを使用し、その典雅な音色は開放感にあふれている。

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古楽演奏の伝統と自由な表現の融合

パリを拠点にして今年で32年になる酒井は、パリ国立高等音楽院在学中から作曲当時の奏法や解釈を重視する古楽に傾倒し、通奏低音楽器のビオラ・ダ・ガンバをマスターしてきた。数々の古楽アンサンブルに参加し、第一線の奏者と共演を重ね、自ら古楽スタイルの「カンビニ弦楽四重奏団」を設立するなど幅広く活躍している。

ガット弦やバロック時代の弓を使うことで、現代のチェロ奏法では表現できない繊細なニュアンスが得られ、作曲家の真意を追究してきた。しかし、酒井は「最近は自らの経験に則して、もっと自由に弾いてもいいと思えるようになった」と語り、古楽演奏に新たな自由を導入している。

新しい古楽の始まりと今後の活動

古楽の魅力は古い音楽だけにあるのではないと考え、酒井は「現代音楽を演奏する古楽アンサンブル」を結成し、古楽のスタイルで自ら作曲も手がけている。「即興は音楽のとても重要な要素の一つ」と話し、今日のクラシック音楽では忘れられてしまった伝統にも目を向け、「新しい古楽」の始まりを宣言している。

6月7日午後3時から、サントリーホール(東京・赤坂)で開かれる室内楽の祭典「チェンバーミュージック・ガーデン」では、渡邊順生(ポジティフオルガン、フォルテピアノ)とバッハ、シューベルトを共演する予定だ。問い合わせは電話0570・55・0017まで。

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