シンガー・ソングライターの杉真理(まさみち)が、7年ぶりの新作「MUSIC MAN」を自身がプロデューサーを務めるπ(パイ)レーベルからリリースした。映画音楽風、シティ・ポップ、ボサノバ調にアメリカンポップスと、「ポップ・マエストロ」の異名にたがわぬ色とりどりの楽曲が詰め込まれている。
「幕の内弁当のような作品」
杉真理は「僕はビートルズで言えば『ホワイトアルバム』が好き。ハンバーグがあって、クリームコロッケがあってという幕の内弁当のような作品。いろんなものを入れようと思って」と、筋金入りのビートルズマニアならではの言葉選びで新作を語る。
前作から7年も空いたのはコロナ禍のためだが、その間もライブ活動は続け、気がつけば新曲がたまっていた。「HUMAN DISTANCE」は、ソーシャルディスタンスにうんざりして書いた曲。「2021年ラプソディー」は、<あのファイザーの夏に><恋しさが募るモデルナの秋>と、普通だと思っていた自由に思いをはせる。時々の思いを歌詞にすくい上げながら、曲調に深刻さは皆無。ドリーミーなポップスで包み込んだ。
タイトルの由来とデビュー50年
「大御所になると壮大な人類愛などを歌いがちですが、僕はワクワクする気持ちが中学生の頃から変わっていない」と語る。
新作タイトルは、ビートルズもカバーした楽曲「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」が使われたミュージカル「ザ・ミュージック・マン」から。音楽の先生をかたって高価な楽器などを売りつける詐欺師が主人公の物語で、「ロックミュージシャンって、高尚な目的で音楽を始めるわけではなく『もてたい』『目立ちたい』から始まり、気がついたら音楽に更生させられている。向こうは詐欺だけど俺は“スギ”で、似ているなと思った」と笑う。
来年にデビュー50年を迎えるが、創作意欲は衰えを見せない。シティ・ポップブームで自作が世界から注目を集め、大好きなビートルズ関連でラジオにイベントにと、引く手あまただ。「今が一番やりたいことをやれている。不思議ですよね」。新作は音楽配信、CDのほか、レコードでも発売中。



