知的障害を抱える19歳の弟が書いた文字を洋服のデザインに活用し、アパレルブランド「Good Broken Charm」を立ち上げた21歳の姉。その製作動画がInstagramで117万回再生を超える反響を呼び、「めちゃくちゃいい字」「プロデュースしてるお姉さんも凄すぎる」「クリエイティブだ!」などのコメントが寄せられている。姉は弟の文字をソックスやTシャツにプリントし、パリコレでの発表も控えている。
弟の「地位と名誉がほしい」がブランド立ち上げのきっかけ
ブランド立ち上げの直接のきっかけは、弟の誕生日に発せられた一言だった。姉は当時を振り返り、「弟が19歳、私が21歳のときで、けっこう最近の話です。誕生日に『地位と名誉がほしい』と言われたとき、斜め上すぎて面白くて、膝から崩れ落ちました」と語る。弟は言葉を知っているが意味を少しだけ理解しきれていないようで、そのズレとタイミングが絶妙に重なり、「センスのいいお笑いが生まれている」と姉は感じたという。
弟の日記が洋服に、パリコレで発表へ
姉はInstagramで「弟のことをみんなに知ってもらいたくて、弟の日記を洋服に」と投稿。きっかけは母が掃除中に弟の日記を見つけ、家族で読んだところ「めちゃくちゃ面白かった」ことだ。日記は「謎の段ボールが家に届いて…」といった物語調で、内容が面白すぎたため「ノリで服にしよう」となった。現在販売しているのは弟が日常的に書く文字をデザインしたもので、日記を元にした洋服は現在制作中で、パリコレで発表する予定だ。
ブランド名「Good Broken Charm」に込めた思い
ブランド名は「良い欠けた魅力」という意味で、「欠けていてもなんかいい弟の表現を伝えていきたい」という思いから名付けた。実際に販売している「思いやり大切ソックス」や「いらないギミックTシャツ」などは、弟の書いた文字やエピソードを基にしており、独特なセンスが光る。
弟の反応と家族のサポート
弟は自分の言葉が商品になったことについて「普通に喜んでいます」と姉は語る。「あげると言ったのに、『自分の給料で買いたい』と言って、買ってくれています。自分のものが商品になって、お客さんがいるということが楽しいのだと思います。『僕のおかげですね!』と言っていました」と笑う。家族もノリノリでアイデアをくれて、家族みんなでいるときに「これ、服にしよう!」となることが多いという。
独学でブランド設立、障害という言葉との葛藤
姉は大学に通いながら独学でシルクスクリーンを始め、事業化してブランドを立ち上げた。大変だったことについて、「最初の頃は売り方がわからなくて…。そもそも『障害』という言葉を使っていいのか、弟の面白さを伝えたいけど、バカにしているように捉えられないか、私の言葉で変換してしまっていいのか、そういったことのバランスをとても考えていました」と振り返る。服や起業系のコンテストに出し続け、反応を見ることを繰り返した。
SNSの反響と原動力
SNSには「めっちゃ可愛い」という声が多く寄せられており、「いつもおしゃれをしている人が、その1つとして選んで買ってくれることが一番うれしい」と姉は語る。「可愛くてめっちゃ着ています!」と言われることが一番の原動力だ。また、ずっとファンだったアーティストやダンサーがリールから買ってくれて、SNSで発信してくれるのも嬉しいという。
「障害という言葉の距離感を変えたい」
姉は弟と生活する中で、特別に大切にしていることはなく、「弟のセンスに笑い転げる時間は本当に楽しい」と語る。弟は「おしゃれは自分が自信があれば、それはおしゃれです!」や「やる気元気歯磨き」などの名言を連発し、斜め上からの言動にいつも気づかされるという。
パリコレデビューの経緯について、姉は「東京都主催のファッションコンペ『Next Fashion Designer of Tokyo』に参加し、その後のアクセラレータープログラムで、ブランド『ANREALAGE』のデザイナー・森永邦彦さんが東京都の若手デザイナーをパリのショーで発表する機会に選出されました」と説明。家族は「家族全員行きたい!!!」と大喜びし、ノリノリで服のアドバイスをくれているという。
最後に姉は、洋服作りを通して伝えたいこととして、「洋服そのものが可愛いことはもちろん、弟がまず1人の人として見られるような体験を作りたいと思っています。障害とかインクルーシブとか、硬い言葉の裏に大事なことや見えない困りごとが隠されている世の中で、そういう表面的なことではなく、実際に弟にはこういう面白さがあるんだよ、ということを広めていくことで、『障害』という言葉との距離感が変わっていくのではないかと思っています」と語った。



