ビジネスポロシャツが急成長、売上6年で3.5倍に
4月の夏日や制服化の流れを受け、ポロシャツがビジネスシーンで爆発的に売れている。しかしSNSでは「裾出しはダサい」など“ファッション警察”が登場し、服装自由の時代だからこそ「何を着れば失礼にならないのか」に悩む人が増えている。洋服の青山でポロシャツを担当する村上智彦氏によると、同社のビジネスポロシャツ「ビズポロ」の売上は発売から6年間で約3.5倍に成長。かつては6月が需要のピークだったが、今年は3月から動き始め、7月以降も需要が続くなど、夏の長期化で「長く売れる定番アイテム」に変わったという。
東京と地方のオフィスカジュアル格差
村上氏は「東京は軽装化が進んでいるが、地方はまだ」と実情を語る。都心ではビジネスTシャツが定着しつつあるが、地方ではTシャツで仕事をする人はほぼ見かけない。同社の拠点がある広島でもその感覚は強く、「宮崎県では役所でポロシャツがOKになったことでようやく周りが動き出した」という。特に若い世代は対人マナーを気にし、先輩や取引先に悪い印象を与えたくないという守りの姿勢が強い。襟付きのポロシャツは「シャツの延長線上で着られるきちんと感」が安心材料となり、ビジネスシーンの救世主となっている。
「だらしない」を防ぐ着こなしのポイント
ポロシャツが「おじさんっぽい」「ダサい」と言われる原因は、選び方と着こなしにある。村上氏は「スポーツ用ポロシャツは裾入れ前提で着丈が長い。それを裾出しで着るからだらしなく見える」と指摘。ビジネス用は台襟(だいえり)を別パーツで付け、襟がしっかり立ち、ジャケットを羽織ってもワイシャツに近い印象になる。袖まわりもアームホールのサイズがカジュアル用より5〜10cm狭く、袖丈も長めで、ジャケットの中でだぶつかない。さらにワイシャツと同じ縫製工場で作ることで、見え方をシャツ基準にしている。
裾インかアウトか、サイズ選びのコツ
ビジネス用ポロシャツは裾を出してもバランスが取れる設計だが、基本はアウトで着るのがスマート。体型に合わせ、ストレッチ素材で体にフィットしやすい場合は、ぽっこりお腹が気になるならワンサイズ上を選ぶとラインを拾いすぎず清潔感を保てる。カラーはネイビーやブラックが主流だが、最近は接触冷感や吸汗速乾、消臭といった機能性が重視されている。
オン・オフ兼用のコスパが支持される背景
購買データによると、販売数の半分近くが「普段着」として購入されている。ビジネス用として開発されたが、シルエットや着心地を気に入った人が色違いでまとめ買いするケースも多い。ファッション消費が厳しくなる中、仕事にも休日にも使える一着の価値は高まっている。村上氏は「メンズの軽装化はいよいよ行き着くところまで来ている」と語る。メンズウェアのルーツは軍服にあり、規律や統一感を重視してきたが、今ではTシャツやハーフパンツまでビジネスウェアとして議論されるようになった。
「おしゃれ」と「身だしなみ」は別物
村上氏は「おしゃれは自己満足、身だしなみは相手への敬意とTPOを考えること」と強調。「誰とも会わない日は好きな格好で良いが、打ち合わせなど人と会う日は自分中心ではなく相手ありきで考える必要がある」と述べる。自由になればなるほど「何を着れば失礼にならないのか」という新たな悩みが生まれる中、ポロシャツは「快適さ」と「きちんと感」を両立する選択肢として支持を集めている。形や素材が変わっても、相手への敬意というビジネスウェアの本質は変わらないのだ。



