探査機「はやぶさ2」、小惑星「トリフネ」のフライバイ探査に成功 精細な写真公開
はやぶさ2、小惑星トリフネのフライバイ成功 写真公開

フライバイ探査の成功

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、探査機「はやぶさ2」が小惑星「トリフネ」の直近を通過するフライバイ探査に成功したと発表した。地球から約1億キロメートル離れた地点で、最接近時の相対速度は秒速5.3キロメートルに達した。6日に行われた記者会見で、探査チームははやぶさ2が撮影したトリフネの精細な写真を公開し、その形状を「雪だるまのようだ」「お団子」と表現した。担当者は「フライバイの一瞬でいい写真が撮れ、感動した」と語った。計画された全ての観測に成功し、機体はその後も正常に稼働している。

撮影されたトリフネの姿

公開された写真は、はやぶさ2の望遠カメラで最接近時刻の1秒前に撮影されたとみられる。トリフネは細長く、中央が深くくびれた形状が特徴だ。JAXA宇宙科学研究所の研究開発主幹でチーム長を務める三桝裕也氏は「フライバイが速いため、小惑星の手前側は画像が少しブレている。それでも、こんなにいい写真が撮れるのかと衝撃的で感動した」と述べた。

形状の比較と科学的意義

初代「はやぶさ」が2005年に探査した小惑星「イトカワ」はラッコ型、はやぶさ2が以前探査した「リュウグウ」はこま型と例えられた。トリフネについて記者が質問すると、三桝氏は「雪だるま」と応じ、吉川真准教授は「お団子をくっつけたような形」と表現した。吉川氏は「一見してイトカワに似ている。どちらも2つの小惑星がくっついてできた『コンタクトバイナリー』だ。ただしトリフネの方がくびれがより深い。まだくっついたばかりで、時間が経つと隕石の衝突などの衝撃でくびれが埋まってイトカワのようになる可能性がある。太陽系にコンタクトバイナリーは多いとみられ、小惑星同士が衝突し、壊れずにくっつくことが結構ある。こうした研究は太陽系初期に微惑星が生まれ、現在に至る過程を調べる上で役立つ」と解説した。

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観測機器の成功と世界初の成果

観測では、光学望遠カメラによる撮影のほか、温度を測定する中間赤外カメラ、水の存在や構成物質を調べる近赤外分光計、観測の正確な距離を把握するレーザー高度計を活用し、全て成功した。特に小惑星のフライバイでレーザー高度計の計測に成功したのは世界初とみられる。吉川氏は「疾走する馬から的を射抜く流鏑馬のようなことができ、本当に画期的だ」と説明した。

惑星防衛への応用

今回のフライバイは、地球で暮らす人類を天体の衝突から守る「プラネタリーディフェンス(惑星防衛)」に役立つ技術の獲得も目的としていた。成功により、危険な天体の素性を調べたり、軌道を変更して地球を守ったりする基礎技術を獲得した。

はやぶさ2の今後のミッション

はやぶさ2は2014年12月に地球を出発。リュウグウを探査し、2回の着地による試料採取などを行い、2020年12月に地球に帰還した。燃料の残量やさらなる科学成果への期待から運用を延長。今後は2027年12月と2028年6月の2回、地球の引力を利用したスイングバイを経て、2031年7月に最終目的地の小惑星「1998KY26」に到着する予定だ。その後、地球に再び帰還することはない。延長運用により機体は設計上の寿命を超過しており、イオンエンジンや姿勢制御装置に劣化や問題がみられる。三桝氏は「機器をケアしながら運用していくしかない。初代はやぶさはこれ以上に苦しい状況で地球に帰還しており、その精神を見習って最後の最後までやる」と意気込みを語った。

発表はJAXAのほか、会津大学、大島商船高等専門学校、京都産業大学、公立鳥取環境大学、国立天文台、米ジョージア工科大学、千葉工業大学、東京大学、名古屋大学、北海道大学が行った。

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