村上春樹『夏帆』が7月月間1位、林真理子エッセイが3位に【オリコンBiZトーク】
村上春樹『夏帆』が7月月間1位、林真理子エッセイ3位

2026年7月のオリコン月間BOOKランキングで、村上春樹の『夏帆 -The Tale of KAHO-』(新潮社)が第1位を獲得した。月間で20万部以上を売り上げる圧倒的な強さを見せた。

7月月間ランキング上位の顔ぶれ

第2位には、プログラミングやAI、恐竜にまつわる疑問を楽しく学べるシリーズの最新作『つかめ!理科ダマン 12 最強ロボット決戦!編』(マガジンハウス)がランクイン。第3位は林真理子の『80代になるとたいていボケるか死ぬ。70代は神様から与えられた特別な時間』(幻冬舎)、第4位は背筋の『目が』(ポプラ社)、第5位は尾田栄一郎原作、江坂純小説の『ONE PIECE novel ZORO』(集英社)が続いた。

週間ランキングの推移と村上春樹の新境地

26年7月のオリコン週間BOOKランキングの推移を見ると、第1週の7月13日付と第2週の20日付では『夏帆 -The Tale of KAHO-』が2週連続で1位を獲得。第3週の27日付と第4週の8月3日付では『つかめ!理科ダマン 12』がシリーズ12作目にして初の2週連続1位となった。最終週の8月10日付では『地球の歩き方 スター・ウォーズ』(地球の歩き方)が1位を獲得している。

月間1位の『夏帆 -The Tale of KAHO-』は、女性を主人公にした村上春樹初めての長編小説。26歳の絵本作家である夏帆が、初対面の男に「正直言って君みたいな見にくい相手は初めてだよ」と暴言を吐かれる場面から物語が始まる。飛び切り美しくも賢くもなく、ただ少しばかり運の強い彼女の周りで、さまざまな奇妙な出来事が起こり始めるというあらすじだ。

作中には、佐原という砂漠のような名前を持つモーターサイクルの男や、しゃべるアリクイなど、個性豊かなキャラクターが登場。アリクイは夏帆に「武蔵境に引っ越しなさい」と勧めたり、白アリを密輸入して食べようとしたりするなど、ユーモラスで不思議な存在感を放っている。現実世界に非現実的な要素が入り交じる村上特有の構成ながら、文章は軽快で読みやすい。主人公が不思議な世界で試練を乗り越えていく冒険物語の側面も持ち、家族間の愛や、自分の道を切り開いていく姿など、約350ページの作品に多くの読みどころが詰まっている。

林真理子エッセイのロングセラー現象

月間3位の林真理子の『80代になるとたいていボケるか死ぬ。70代は神様から与えられた特別な時間』は、5月27日の発売以降ロングセラーとなっている。新書としては自身最多となる13週連続1位を記録し、8月24日付の週間BOOKランキングで総合1位を獲得。累計発行部数は10万部を突破した。

72歳の林が健康、おしゃれ、仕事、お金、人間関係、趣味について本音で語るエッセイで、確実に来るその日を見つめ、今の1分1秒を楽しんで生きるための人生論が細かな章立てで綴られている。ペットボトルのキャップが開けられなくなった際、容器が硬くなったからではなく自分の筋力が落ちたのだと気づくエピソードなど、世の中が変わったのではなく自分自身が老いて変化していることを自覚すべきだという洞察が含まれる。

「人生を愉しまずに逝ってはいけない」という言葉からは、計画的かつエネルギッシュに人生を楽しむ著者の姿勢がうかがえる。「経営者が書いた本を鵜呑みにしてはいけない」という指摘や、「働く辛さはまだ捨ててはいけない」と、働く辛さの中にも工夫して楽しむことの大切さが語られている。シニア世代だけでなく現役世代にとっても、今後の人生の生き方について多くの気づきを与える一冊だ。

7月のランキングは多彩なジャンルの作品が上位を彩り、読者の年代や状況によって受け取り方が変わる作品が多く見られた。次回のランキングでも、どのような作品が読者の関心を集めるのか注目が集まる。