「ぼくダルマになる。やくそくするよ、おばあちゃん」――幼稚園児ののび太が、病床の祖母にそう誓ったエピソードは、多くの人の心に残るシーンだ。富山大学名誉教授でドラえもんアナリストの横山泰行氏は、著書『ポケット版「のび太」が教えてくれたこと』の中で、のび太の生き方から「自分探し」に陥らず、自分らしく生きるためのヒントを紹介している。
自分探しの沼にはまる前に
将来への漠然とした不安や、うまくいかない現状に直面した時、人は「自分探し」を始めがちだ。しかし、自分探しの深い沼から抜け出せなくなる人も少なくない。横山氏は、マンガとはいえ、あらゆる種類の困難に日々直面し続けているのび太の存在に注目する。のび太は勉強も運動も苦手で、しばしば「ダメ人間」と評されるが、その「ダメ人間のまま」でいることが、結果的に強みになることもあるという。
おばあちゃんとの約束
幼稚園児の頃ののび太は、よく庭で転んで泣いていた。そんなとき、病床に伏しているおばあちゃんが「コロコロ」とダルマを投げてくれた。転がってきたダルマは、のび太の目の前で「ピョコ」と立ち上がる。すると、起きてきたおばあちゃんが、のび太に優しく声をかける。「さ、ダルマさんもおっきしたよ。のびちゃんだって、ひとりでおっきできるでしょ」。このエピソードは、のび太が「ぼくダルマになる。やくそくするよ、おばあちゃん」と約束するきっかけとなった。
人と比べない、無理して変わる必要はない
のび太は「坂道によわくてねえ。平らな山ならいいんだけど……」と弱音を吐くことがあるが、横山氏は「無理して変わる必要はない」と説く。のび太は決して万能ではないが、友達を思いやる優しさや、困った人を助ける勇気を持っている。そうした「自分らしさ」を大切にすることで、のび太は多くの人に愛される存在となっている。
自分探しの深みから抜け出す方法
横山氏は、自分探しに没頭するあまり、現実から逃避してしまう人に対して、のび太のように「今の自分を受け入れること」の重要性を指摘する。のび太は決して完璧ではないが、自分の弱さを認め、それでも前を向いて歩いていく。その姿勢こそが、自分探しの深みから抜け出す鍵だと、横山氏は述べている。
のび太流「自分らしく生きる」ヒント
横山氏は、のび太の生き方から学ぶべき点として、以下の3つを挙げている。1. 人と比べず、自分のペースを守る。2. 無理に変わろうとせず、自分の長所を活かす。3. 小さな約束を大切にし、誠実に生きる。これらのヒントは、現代社会で生きる多くの人にとって、自分らしく生きるための道しるべとなるだろう。



