大船渡市三陸町越喜来浪板の「休み処かわ喜」で提供されている「崎浜磯ラーメン」が、磯の香りと海の幸を一度に楽しめると話題だ。塩味のあっさりしたスープに、肉厚のワカメやめかぶ、地域の名産・シュウリ貝(ムール貝)、プリッとした食感のベビーホタテが盛り付けられている。
地元の海の幸をふんだんに使った一杯
ワカメはしゃきしゃきとした歯ごたえで、貝はふっくら。スープは煮干しや昆布のだしがきき、磯の香りが口いっぱいに広がる。細い縮れ麺がスープとよく絡み、店主の白川里奈さん(48)は「地元の漁師がとった海の幸を十分に堪能できる一杯」と話す。
白川さんは釜石市の出身。高校卒業後、東京都内の専門学校でデザインを学び、広告業界に長く身を置いてきた。飲食とは無縁だったが、東日本大震災で帰郷したことが転機となった。津波で変わり果てたふるさとにぼう然としながらも、父・川端実さん(79)の製麺所「川喜」(釜石市)で炊き出しに参加した。
震災を機にラーメン店を開業
温かいラーメンを被災者に手渡すと、笑みがこぼれた。「ラーメン一杯で、こんなに喜んでくれるんだ」。その印象が強く残った。震災から約10年。大船渡市内で、高台に立つ食堂だった空き家を見つけ、2023年夏、2人の子供たちを連れて東京都内から沿岸地域に戻ってきた。
復興が進み、店がある越喜来浪板海水浴場は夏場は多くの家族連れでにぎわう。地元に笑顔が戻り、「ここでラーメンが食べられるとは思わなかった」という声もよく聞くようになった。ただ震災の爪痕は深く、地域の人口は減少し、飲食店の閉店も相次いでいる。白川さんは地域に笑顔を届けるため、ラーメン作りに汗を流す。
釜石ラーメンも味わえる
同店では、釜石市のソウルフード「釜石ラーメン」も味わえる。琥珀色に透き通ったあっさりの醤油味のスープに極細の縮れ麺が特徴だ。自家製麺に、父・川端さんが研究を重ねて作り出したスープがよく合う。
白川さんは「釜石市の製麺所の釜石ラーメンを食べる機会はあまりない。ぜひ食べてほしい」と話す。記者は釜石市内の釜石ラーメンはほぼ制覇した。次回は絶対に注文するぞ。(山森慶太)
崎浜磯ラーメンは850円(税込み)で釜石ラーメンは600円(同)。住所は大船渡市三陸町越喜来浪板94の7。三陸沿岸道路三陸インターチェンジ出口から約10分。営業時間は午前11時~午後3時。不定休。店のインスタグラム(@yasumidokoro_kawaki)でも情報を発信している。問い合わせは0192・22・8835へ。