福井で親しまれてきた郷土料理「たくあんの煮たの」は、古漬けのたくあんを煮物にして生まれ変わらせた料理だ。食材を無駄にしない昔ながらの生活の知恵が生きている。
食生活改善の推進や伝承料理の普及に取り組む「福井市食生活改善推進員連絡協議会」会長の岡部先枝さん(72)は「新しくたくあんを漬ける頃に作られてきた。食材をおいしく食べ尽くしたいという思いから、生まれたのでしょう」と話す。
調理法はシンプル、塩抜きがポイント
調理法はシンプル。たくあんの輪切りを水に入れて一煮立ちした後、だし汁にしょうゆやみりん、料理酒を加えて煮込む。ただ、古漬けのたくあんは酸味が増しているため、調理前に一晩、水につけて塩抜きしておくのがポイントだという。
調味料が染み込むまで煮込み、タカノツメを入れると完成だ。漬物の独特のこりこりとした歯ごたえが残るのが特徴で、ごまをかけたり、ごま油で香り付けをしたりして、各家庭の味に仕上げる。
岡部さんは「小さい頃からよく食卓に出てきた。家で作る人は少なくなってきたかもしれないけど、私にとってはふと食べたくなる身近な料理」とほほ笑む。
ホテルやスーパーでも提供
たくあんの煮たのは県内のスーパーで売られていたり、飲食店で提供されたりしている。和洋約60品目が味わえる朝食が人気の「福井国際観光ホテルリバージュアケボノ」(福井市)でも、一品として並ぶ。地元農家が育てた大根を仕入れて作っている。
福井市旅館業協同組合は2019年、県民の幸福度が日本一といわれるのにちなみ、福井の総菜を「お幸(こう)ざい」と名付けた。ホテルでもこの名称で提供しており、当時の組合理事長でもある清水嗣能社長(71)は「県外から訪れた人にも、福井の伝統食を知り、食べて幸せを感じてほしい」と語る。
記者の実食レポート
岡部さんのおすすめの通り、温かいご飯の上に冷やしたたくあんの煮たのをのせて食べてみた。独特の食感と、だしやしょうゆの風味が絶妙でご飯が進んだ。この夏、冷蔵庫に常備しておきたい。(杉原慶子)
福井市食生活改善推進員は電話0776・28・1256(市健康管理センター)。健康的な食生活の推進などに取り組む。市が隔年で養成講座を開いている。福井国際観光ホテルリバージュアケボノは電話0776・22・1000。朝食は宿泊者が利用できる。大人2500円、3歳~小学生1250円(いずれも税込み)。



