狂言・茂山千五郎、襲名10周年 個性豊かな3世代率い新たな段階へ
狂言・茂山千五郎、襲名10周年 3世代そろい新たな段階へ

江戸初期から続く京都の大蔵流狂言の名家、茂山家の当主、茂山千五郎(54)が襲名から10周年を迎えた。その記念公演「茂山狂言会 秋」が23日、京都市上京区の金剛能楽堂で開催される。

40代で当主名を襲名し、輪郭の大きな芸で、父亡きあとも約20人という大所帯の茂山家を率いてきた。千五郎は「今まで勢いだけでやっていた部分もあったけれど、これからはその時々に合った狂言をお届けしていきたい」と新たな段階へと歩を進める。

襲名からの10年を振り返る

五世千作(十三世千五郎)の長男として生まれ、3歳で初舞台を踏んだ。若い頃から弟の茂や、同世代のいとこたちと新たな狂言ファンの開拓にも尽力。平成28年に父が隠居名の千作を名乗ると同時に千五郎の名を譲り受け、茂山家の十四代目当主となった。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

襲名からの10年を千五郎は、「父が(令和元年9月に)亡くなり、その後はコロナで、本当にいろいろあっていろいろ変わった」としみじみと振り返る。

3世代がそろい多彩な個性を披露

苦難も多かったが、明るい変化が次世代の成長だ。幼かった子供たちは10~20代になり、人間国宝の七五三やあきらのベテラン勢、それに次ぐ脂の乗った千五郎たち、そして子供たち。「3世代がようやくそろってきた」と成長に目を細め、「いろんなタイプの狂言を見ていただけるんじゃないかと思う」と語る笑顔には自信がにじむ。

今公演ではそんな茂山家の多彩な個性が見られる。狂言「麻生」は、国元へ帰る麻生(千五郎)が従者たちに支度を命じるが-という展開で、髪(髷=まげ)を舞台上で実際に結ってみせるのが見どころだ。その都度かつらを作る必要があり、なかなか演じられない珍しい演目。従者を演じるのは長男の竜正と次男の虎真で、千五郎は「彼らの代でまたやってくれるかな」との期待を込めて背中を見せる。

七五三とあきらは熟練の「魚説経」を勤める。千五郎の三男、鳳仁は語り物の難曲「那須語」を初演する。茂らが「狐塚」を「小唄入」の小書き(特殊演出)で勤め、最後は千之丞が嫌われ者の太郎を演じる「千切木」で大人数が出演し、にぎやかに幕となる。

当主としての新たな自覚

最近は子供たち世代との共演を通して「(自分が)習ってきたものを伝えていかなあかん切り替わり」だと実感している。当主としての自覚を胸に「今は千五郎家の狂言というものを無意識にすごく意識しています」と力強くうなずいた。

「茂山狂言会 秋」は全席完売だが、10月4~10日に「Streaming+」で有料配信がある。茂山狂言会事務局(075-221-8371)。(田中佐和)

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ