富士山を望む高台の住宅街に、6年前にオープンした『ビストロ イグレック』。フランス仕込みの家庭料理をコースで提供し、店内では客同士やオーナーとの会話が弾んでいる。
フランスの昼食の雰囲気を再現
「フランスのお昼ごはんって、ゆったり、笑い声が絶えないんですよ。そんな雰囲気を再現したい」。オーナーシェフとして1人で店を切り盛りする山本寿子さん(63)はそう語る。高台にある店内からは、富士山と富士市の街並みが一望できる。
手間をかけた前菜とフランスの食文化
「お客さんの心をまずグッとつかむ」と、前菜は特に手間をかける。秋メニューで出すカボチャのスープはブイヨンを全く使わずじっくり煮込み、ニンジンやナスなど旬の野菜料理がその周囲を彩る。フランス定番のポテトサラダ「ピエモンテーズ」は、ビネガーの酸味で濃厚だがすっきりした味わいに仕立て、地元特産のマッシュルームをアクセントにちりばめた。
結婚直後の20歳代後半から40歳代にかけての計7年半、夫の転勤でフランス東部のアルザス地方で暮らした。現地の料理クラブなどに顔を出すと次々と友人ができ、レシピを教わった。塩を使って奥深い味を出すフランスの家庭料理に驚くとともに、ゲストと一緒にテーブルを囲んで会話を楽しむことこそが最高のもてなしと考える現地の食文化に魅せられた。
ゆったりした時間とフランス流のもてなし
帰国後、そんな食文化を紹介したいと、下積み修業を経て、子どもらの巣立ちを待って念願の開店を果たした。ランチ時間帯に対応する客は、1回転のみ。最長3時間半、客が料理を堪能しながらおしゃべりを楽しめる配慮だ。山本さんも、フランス流のもてなしをと、求められれば「漫談」と客から評されたこともある自慢の話術で盛り上げる。
食後には、本格的なハーブティーやコーヒー、ワインが待つ(別料金)。「時にはゆっくり、だらだら、お茶を飲んでおしゃべりして。そんなフランス流の人生の楽しみ方を提供していきたい」と語る。(関口雅友)
静岡県富士市鈴川東町8の4。完全予約制で午前11時30分~午後3時。ディナーは要相談。日、月曜休み。ランチコースは3700円(料理のみ)と4200円(デザート付き、いずれも税込み)。090・6645・4067。