東京・上野の隣、御徒町。御徒町駅の目の前に、創業100年を超える老舗スーパーマーケット「吉池」がある。新鮮な魚介を中心に、青果・精肉・惣菜や酒類など、選り抜きの商品を取り揃えている。その品揃えの確かさは、都内の飲食店関係者も通う玄人好みの店だ。現在は地上9階・地下2階の本社店舗のうち、地下1・2階と9階に売り場とレストランを置く。JR山手線・御徒町駅南口から徒歩0分。上野駅からアメ横を通り抜けて来ても良い。1〜7階はユニクロとGU、8階には複数の飲食店が入っている。1階のユニクロ売り場を通り抜けると、鮮魚コーナーの入り口がある。各地の鮮魚・珍魚だけでなく、幻の高級魚「クエ」なども並ぶ、非常に地力の高い売り場だ。店舗の地下2階は酒類や日用雑貨を置く。日本酒は新潟の地酒が多数揃っており、壮観である。
創業者のルーツが生んだ新潟特産品
吉池の創業者は新潟県出身。そのため、都内では珍しい新潟県の特産品を多数揃えている点も特徴だ。今回は筆者が店内で見つけた美味いもの・珍しいものを勝手に10点厳選してみた。ユニークさ、美味さを基準に選び抜いたので、ご紹介しよう。
新潟の「そば」も侮れない!
まずは、新潟県内で流通している乾麺のそば2種類から。みのりそば(298円)は、新潟名物の「へぎそば」で、海藻の「布海苔」をつなぎに使うことで、喉越しよく食べられるのが特徴。通常のそばと比べて平たく幅広な「平打ち」仕上げのものが多いという。平打ち仕上げの「みのりそば」は、株式会社玉垣製麺所の製品だ。また、茹でたそばを「へぎ」と呼ばれる木製の四角い器に一口大に丸めて盛りつけることから「へぎそば」と言う。薬味として、ワサビの代わりにカラシを使うこともある。もう1つは、平打ちタイプではないが、つなぎに布海苔を使用した「妻有そば」(200g・298円)。テレビ番組で「生麺に近い乾麺」として「茹で上がりのよさ部門」で1位を獲得した逸品だ。
せっかくなので、筆者の近所のスーパーで購入した生麺タイプのそばと食べ比べてみた。みのりそばは布海苔の繋ぎが生み出す喉越しがくせになる美味しさで、蕎麦らしい香りも感じられる。妻有そばは麺が細いが、こしが強く、香りや喉越しも素晴らしい。正直、生麺タイプよりも生っぽいと感じるくらいだった。さらに、茹でた後の蕎麦湯も飲んでみたが、みのりそばも妻有そばも非常に濃厚で美味い。生麺タイプでは保存料のクエン酸などが蕎麦湯に雑味を与えることがあるが、乾麺では不要なため、ストレートな美味さを感じられる。そばといえば長野・岩手・島根という印象だが、新潟のそばもまったく侮れない。
新潟は豆腐もうまい!
五頭山の麓に湧く清らかな水をたっぷり使い、天然にがりを使用したこだわりの豆腐を作る「川上とうふ」(280円)も吉池に入荷している。今回はもめん豆腐と、緑豆を使った「五頭のしずく」(450円)のおぼろ豆腐を食べてみた。もめん豆腐は味が濃厚で、豆腐自体が非常にしっかりしている。ちょっと箸で突いた程度では全然崩れない。水をしっかり切って料理に使えば、豆腐の姿がしっかり残った味わい深い一品になる。もう1つの「五頭のしずく」は、青豆を使ったおぼろ豆腐。一転して実にふわふわと柔らかな食感で、青豆の香りや味もしっかり楽しめる。どちらも冷奴として醤油だけでいただいたが、同じ豆腐でも素材や製法でこんなに変わるのかと驚いた。
自家製パン「オンディーヌ」
地下1階には自家製パンを販売する「オンディーヌ」が入っている。常時20〜30種類のパンを陳列し、すぐに食べられる惣菜パンの数も多い。今回は人気の惣菜コッペパン(吉池の表記では「こっぺぱん」)3種と、食パン2種を食べてみた。コロッケ(280円)は、吉池の惣菜コーナーのコロッケがそのまま挟まれた定番品で安定した美味しさ。ジャージー牛乳クリーム(160円)は、優しい生地とほの甘いミルククリームの組み合わせが後を引く。フィッシュサンド(330円)は、白身魚(ホキ)のフライが肉厚で食べ応えたっぷり。昼食などにおすすめだ。
続いて食パン2種。クリーミー食パン(350円)は、牛乳の代わりにクリームを使って練り上げたもの。数年前に流行した高級食パンと同系統だが、一回り小さめに焼き上がっているおかげかリーズナブル。生で食べると明らかに甘く、もっちり・しっとりした食感。湯種製法を採用しているためだ。軽くトーストしても美味いが、生でそのままパン自体の味を堪能したい。オレンジブレッド(270円)は、日替わりパンの火曜日のもの。オレンジピールを練り込み、表面にも飾られてインパクト抜群。軽くトーストするとマーマレードのような香りと味がアクセントとなってサクサク食べられる。日替わりパンは毎日14時の焼き上がりだが、タイミングが合えばぜひ他の曜日もチャレンジしてほしい。
話題の「ぼだっこ」もあります!
食料品コーナーの一角では、秋田県の伝統食「ぼだっこ」も販売されていた。ぼだっこは大辛の塩鮭で、通常の塩鮭の塩分濃度が1〜6%程度なのに対し、10%以上という激辛が特徴。ロシア産紅鮭を使った切り身(95g、465円)を購入。ご飯のお供としても酒の肴にも人気だが、秋田県内のスーパーでは白米に5gのぼだっこの欠片を載せただけの弁当がSNSでバズったのも記憶に新しい。普通の塩鮭のように焼いてみると、驚くほど塩が吹き出してくる。95gの切り身に対して約10gの塩分が含まれている計算だ。味は確かにしょっぱいが、しょっぱい中にも濃厚な鮭のうま味があり、米が進む。5gでは茶碗1杯に足りなかったが、2かけほどむしり取っただけで茶碗が空になった。おにぎりにしたら最高だ。
新潟の底力を御徒町で堪能
吉池はアメ横のすぐ隣という立地からか、非常に充実した品揃えと、こだわりの新潟産商品の品揃えが大変ユニークだ。今回紹介できなかった特産品も数多い。ただし、こうした特産品は季節性も強く、入荷も限られているので、行けば必ず置いてあるわけではない。一期一会を楽しむつもりの探検感覚で訪れてみてほしい。きっと新たな驚きがあるはずだ。



