とろとろザクザク…進化系モンブランを食べ比べてみた
とろとろザクザク…進化系モンブランを食べ比べてみた

旬の生栗が出回る秋、栗が主役のスイーツ・モンブランが食べたくなる。従来のイメージを覆す“進化系”モンブランが続々と登場している。その実力を食べ比べてみた。

とろとろの新感覚「THE珀山モンブラン」

JR東京駅に隣接する大丸東京店では、開店30分前から入り口に長蛇の列ができていた。2025年10月にオープンしたモンブラン専門店「モンブランTHE珀山(はくざん)」の商品を求める客の行列だ。

看板商品の「THE珀山モンブラン」は毎日午前10時と午後5時の2回販売される。事前の問い合わせでは、各回とも販売開始30分以上前に並ぶことを勧められた。記者は午前9時半に列に並んだ。この商品は2個入り2052円(税込み)で、1人2箱まで購入できる。

「冷凍された状態ですので、冷蔵庫に6時間入れ、解凍してからお召し上がりください」とスタッフから説明を受け、商品を受け取った。オフィスに着くと冷蔵庫に入れ、待つこと6時間。箱を開けると、真っ白な山が二つ並んでいる。

このモンブランのうたい文句は「飲めそうなほどのとろとろ感」。一口含んだ瞬間、口の中でとろけて、和栗の甘い香りが鼻へ抜けていく。土台のメレンゲも軽く、口の中で綿菓子のようにほどけた。

ドバイチョコ風「THEドバイ・モンブラン」

進化系モンブランはほかにもある。とりわけ目を引くのが、本物の栗のような見た目の「THEドバイ・モンブラン」。東京や名古屋などに店舗を構える「バターステイツ by銀のぶどう」が販売する秋限定の商品だ。

UAEのドバイが発祥とされ、日本では2年ほど前から人気が高まっている「ドバイチョコレート」。中東の食材である細い麺状の生地「カダイフ」のザクザクとした食感が特徴のアレンジは、パンやアイスクリームなどに広がりを見せたが、この秋、モンブランにも登場した。

「THEドバイ・モンブラン」は1個648円(税込み)。フォークを入れるとザクッとした手応えがあり、口に含むとマロンとラムの香りが強く、しっかりとした甘さが広がる。ドバイチョコはカダイフとピスタチオペーストが特徴だが、このモンブランにはピスタチオペーストは使われていない。カダイフはマロンペーストに練り込まれており、ぜいたくな栗の香りと味わいを楽しめた。

和菓子との融合と伝統のスタイル

進化系モンブランはさらに、和菓子と融合させた「くり屋南陽軒」(岐阜県中津川市)の「純栗きんとんモンブラン大福」(税込み3980円)や、マロンペーストの絞りたての風味と香りを楽しめる和栗専門店「和栗や本店」(東京都台東区)の「モンブランデセル」(ほうじ茶付き税込み1800円)など数多くある。

もっとも、ここまで自由な進化を遂げると、そもそも何をもって「モンブラン」とするのか気になる。1903年にパリで創業した老舗で、日本にも店舗を構える「アンジェリーナ」では、創業当時からモンブランを定番商品として取り扱っている。アンジェリーナジャパン代表の塚尾郁子さんは「モンブランには決まった定義はありません」と話す。

塚尾さんによると、モンブランの歴史は16世紀のイタリアにさかのぼる。菓子の名前は、フランスとイタリアの国境に位置するアルプス山脈の最高峰モンブランに由来する。「Mont(モン)」は山、「Blanc(ブラン)」は白の意味で、万年雪をいただく山の姿がモチーフになったとされている。

現代人が思い浮かべるのは、メレンゲやスポンジなどの土台に生クリームを重ね、細い糸状のマロンペーストで覆ったもの。アンジェリーナでは現在もこのスタイルを販売している。この形は、19世紀末から第1次世界大戦前の「ベル・エポック」時代にパリの女性たちの間で流行したヘアスタイルから着想を得たもので、細い糸は女性の髪の毛を表現したとされる。

塚尾さんは「モンブランが新たな形で解釈、表現されるのは、時代を超越したお菓子であることの証しでしょう。これからも様々なモンブランが独創的な形でつくられ、次代に受け継がれていくと思います」と話す。「白い山」のイメージを受け継ぎながら、姿を変え続けるモンブラン。次はどんな「山」が現れるのだろうか。