京都市京セラ美術館で「テート美術館―YBA&BEYOND」展 9月6日まで
京都市京セラ美術館でYBA&BEYOND展 9月6日まで

京都市左京区の京都市京セラ美術館で、「テート美術館―YBA&BEYOND 世界を変えた90s英国アート」展が9月6日まで開かれている。1980年代後半から2000年代初頭にかけて英国で生まれた美術を通覧する展覧会で、ダミアン・ハーストさんら「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)」と呼ばれた若い才能が次々と表舞台に現れた時代を振り返る。

YBAの軌跡と社会への問い

入り口そばには、20世紀英国を代表する画家フランシス・ベーコン(1909~92年)の「1944年のトリプティク(三幅対)の第2ヴァージョン」(1988年)が展示され、その隣にハーストさんの初期代表作「後天的な回避不能」(91年)が並ぶ。机や灰皿などありふれたオフィス空間をガラスに閉じ込めた作品で、社会の息苦しさや死を想起させる。

展示の軸は、英国を代表するテート美術館が所蔵するYBAのコレクション。経済の立て直しが進む一方、貧富の格差など社会の軋轢が顕在化した1990年代、身近な素材やテーマを扱いながら発表場所の開拓などに取り組み、国際的な注目を集めた。

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多様な表現と「ビヨンド」の視点

本展は約50人のアーティストらの作品を、都市や音楽・ファッション、医学など六つのテーマで読み解く。ロンドンの地下鉄路線図の駅名を哲学者や政治家らに書き換えたサイモン・パターソンさんの「おおぐま座」(92年)や、著名人や同性愛者の若者らを生々しく撮影したヴォルフガング・ティルマンスさん、人気ミュージシャンの顔を極端に単純化したジュリアン・オピーさんの作品などが並ぶ。

エイズの流行やジェンダー規範の見直しに鋭敏に反応した作品も紹介される。デレク・ジャーマン(1942~94年)の「運動失調―エイズは楽しい」(93年)は、偏見に満ちた社会を痛烈に批判。サラ・ルーカスさんの「煙草のおっぱい(理想化された喫煙者の椅子Ⅱ)」(99年)は、乳房の形状にたばこを配し、女性らしさににじむ滑稽さをさらけ出す。

企画した黄夢圓・京都市京セラ美術館学芸員は「作家たちが自らYBAと名乗ることは、ほぼありません。個々が音楽やファッションなどのマスカルチャー、美術市場、美術史など多方面に訴求することでYBAという存在が大きくなっていった」と語る。

本展は「ビヨンド(超えて)」も掲げ、同時代に活動しながらYBAにくくられず、後に高い評価を受けた黒人女性のルベイナ・ヒミドさんらにも目配りする。これまで取りこぼしてきた表現を丁寧にすくい上げることで、豊かな全体像が浮かび上がる。

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