藤井聡太王位に伊藤匠二冠が挑戦する伊藤園お~いお茶杯第67期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)の第4局が、8月18日(火)・19日(水)に長崎県長崎市の「ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート」で行われた。対局の結果、難解な相掛かりのねじり合いから抜け出した伊藤二冠が143手で勝利。2勝2敗の五分に戻し、タイトルの行方はますますわからなくなっている。
挑戦者の注文は相掛かり
伊藤二冠としては3敗目を喫すると奪取が厳しくなるだけに負けられない一戦。先手番で相掛かりを目指すのは本シリーズで一貫した方針で、右桂の活用を急いだのがこの日の伊藤二冠の作戦だった。持久戦を選んで力を出し切れず敗れた第2局からのマイナーチェンジで、飛車角桂香の飛び道具を生かして左の端攻めから素早く動いたのがその主張である。
ともに研究の範囲内だったのか、1日目昼食休憩時点で68手とかなりのハイペースで指し手が進む。先にまとまった時間を使ったのは伊藤二冠で、と金作りを許す代わりに桂を取ったのがひとつの決断。後手からの攻めを受け流しつつ攻め合いを求める方針がはっきりして、一局の構図が浮かび上がってきた。藤井王位が封じ手を記してこの日の戦いが終了した。
炸裂した鬼手
深夜に起こった対局場のトラブルを受け、翌日は11時からの開始となった。盤上は形勢互角で、ともに敵玉そばに成駒を作っているものの十分な戦力が整っていないため、長いねじり合いが続く。形勢が動いたのは2日目夜、藤井王位が6筋から反撃を試みたときのことだった。中央の折衝で銀を手にした伊藤二冠は、ここで検討陣の度肝を抜く鬼手を炸裂させた。
敵玉のうしろ、タダのところに銀を打ったのが藤井玉の息の根を止めた決め手。これは詰めろで、かつ取ると王手飛車取りが待っているため後手はすでに手段に窮している。残り時間のほとんどを投じた藤井王位だが、その怪力をもってしても伊藤二冠の怒涛の攻めを止めることはできなかった。終局時刻は21時30分、最後は藤井王位が形を作って投了した。
第5局は徳島で
全体を振り返ると、先手番らしい攻めで中盤をリードした伊藤二冠の積極策が光る快勝譜となった。逆に藤井王位としては、自然に思われた中央での銀交換が先手の好手を呼んでしまうという不運が響いた。注目の第5局は8月26日(水)・27日(木)に徳島市の「渭水苑」で行われる。
勝った伊藤二冠は「判断の難しい局面が続いたという意味で充実感のある内容」と勝局を振り返った(写真:日本将棋連盟)



