ソニーグループ傘下の米アニメ配信大手クランチロールは、日本のアニメの海外展開を強化するため、アニメの実写化などを手がける専門組織を新設する。作品の企画・制作まで事業を広げ、世界的に人気が高まる日本のアニメを軸に収益拡大を図る。
新組織の役割と制作体制
クランチロールは7日、ニューヨークで初の業界向けイベントを開き、社内にアニメ作品の企画・開発を担う新組織を設けると発表した。新組織は、日本のアニメの実写化のほか、海外の映画やドラマ作品のアニメ化などを担う。制作には人気アニメ「鬼滅の刃」を手がけるアニプレックスなども携わる。
業界イベントと社長のコメント
イベントにはアニメやゲーム、映画などの業界関係者約500人が日米などから参加した。クランチロールのラウール・プリニ社長は、読売新聞の取材に「日本から生まれる素晴らしい作品を世界中のファンに届けたい。この場から一つでも新しい協業が生まれれば成功だ」と述べた。
アニメ市場では、海外にもファンが多い日本作品への投資が拡大している。米動画配信大手ネットフリックスは、人気アニメ「呪術廻戦」などを手がける制作会社「MAPPA」と提携し、作品開発から商品展開まで共同で進める方針を打ち出した。
クランチロールの現状とソニーの戦略
クランチロールは、日本のアニメなどを約200の国・地域に配信する有料サービスを展開しており、有料会員は2100万人に上る。約5万話の作品をそろえ、世界最大級のアニメ専門配信サービスとなっている。近年は映画配給や関連商品の販売などにも事業を広げている。
ソニーグループはゲーム、音楽、映画などのエンタメ事業を成長の柱に据える。2026年3月期連結決算では、この3分野の売上高が全体の約67%を占めた。十時裕樹社長CEO(最高経営責任者)はこの日のイベントで、「アニメは世界的なエンターテインメントとして成長を続けている。今後何十年にもわたって成長を続けられるよう取り組んでいく」と力を込めた。
プリニ社長インタビュー
クランチロールのラウール・プリニ社長が読売新聞のインタビューに応じた。主なやり取りは次の通り。
――今後の成長をどう考えるか。「成長には二つの方向がある。一つは世界中で増え続けるアニメファンを取り込むこと。もう一つは劇場映画や電子コミック、ゲームなど様々な形で楽しめるようにすることだ。動画配信は事業の中心だが、ファンは作品を見終えた後も音楽を聴き、関連商品を買い、ゲームで遊ぶ。こうした需要に幅広く応えたい」
――アニメ市場の競争も激しくなっている。「我々の強みはアニメだけに集中していることだ。年間200~250作品を届ける。日本での放送から1時間以内に海外へ配信する速さも強みだ。17言語に対応している。ソニーグループ各社の経験や専門性を活用できることも強みだ」
――5年後にどのような会社を目指すか。「より多くのアニメファンに利用してもらいたい。クリエイターからも、作品を世界に届ける際に真っ先に選ばれる企業になりたい。制作者が作品から対価を得られ、長期にわたって作品を託してもらえるようにしたい」