午後六時十分頃、事務所に到着すると、すぐ後ろにスギモト電器の営業車が停まった。降りてきたのは伊達だった。
伊達が詫びを申し出る
阿岐本が「いったいどうなさいました?」と尋ねると、伊達は「何だか、告げ口したみたいな恰好になっちまったんで、詫びを入れておこうと思いましてね」と答えた。
阿岐本が「気にしねえでください。こっちも嗅ぎ回っていたのは事実なんで……」と言うと、伊達は「あんたらに、借りとか作っちまうと怖いじゃないですか」と返した。
茶の誘いと代表室へ
阿岐本が「こんなことを貸し借りにはしません」と言うと、伊達は「まあ、そう言ってもらうと安心だ。じゃあ、俺はこれで失礼しますよ」と辞した。しかし、阿岐本が「せっかくここまでいらしたんだ。茶の一杯も飲んでいってください」と誘うと、伊達は「いや、遠慮しときます」と遠慮した。
阿岐本が「そうおっしゃらずに……。ちょっと訊きたいこともありますんで」と言うと、伊達は「訊きたいこと?」と問い、「まあ、そういうことなら……」と応じた。伊達は代表室に案内された。



