東野圭吾遺作『永遠の記憶』が歴代最高初週売上、ガリレオ完結作が「最後の謎」に迫る
東野圭吾遺作『永遠の記憶』が歴代最高初週売上を記録

作家の東野圭吾さんの遺作であり、ガリレオシリーズの完結作となった『永遠の記憶』(文藝春秋)が、8月17日付のオリコン週間BOOKランキングで1位を獲得した。週間売上は17.8万部に達し、東野作品史上最多の初週売上を記録。2011年発売の『真夏の方程式』の6.5万部を大きく上回り、今年度最高だった村上春樹作品の初週売上も更新した。

前人未到の記録を振り返る

オリコンBiZトークでは、東野圭吾さんが打ち立てた数々の記録を特集。8月10日付の週間文庫ランキングでは、トップ50に19作品がランクインし、同一著者として史上最多を記録している。年間文庫ランキングでは歴代タイの4度の1位を獲得。2008年『容疑者Xの献身』、2015年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、2018年『ラプラスの魔女』、2023年『クスノキの番人』と、長年にわたりヒット作を生み出してきた。

さらに、年間文庫ランキングの作家別では2008年から2025年までの間に16回の1位を獲得。2026年上半期ランキングでも81.2万部を売り上げて作家別1位となっている。MCは、ミステリーからSF的な要素まで多様な作品が長く読まれ続けていることが、これらの記録を支えていると分析した。

『永遠の記憶』の衝撃的な幕開け

『永遠の記憶』は、内海薫がスーパーマーケットで刺されるシーンから始まる。犯人の茂久という70代の老人は、刺した直後にビルの屋上から飛び降り自殺を図り一命を取り留めるが、指紋を焼いており身元が不明。唯一の手がかりは「鶴巻和正」名義の預金通帳だった。面識のないはずの内海をなぜ刺したのか、通帳の名義人は誰なのかという謎に、内海に恨みを抱く若い女性の存在も絡んでいく。

本作は「履歴る(たどる)」「終活る(ふりかえる)」という2つの章で構成され、これまでのガリレオシリーズで描かれた事件や関係者の人生が交差。湯川学、草薙俊平、内海の3人が過去の事件を振り返りながら、長年解かれていなかった「最後の謎」に迫る。ドラマや映画でおなじみの福山雅治さんや柴咲コウさんの声、背景音楽が脳内で再生されるような没入感があり、過去作の伏線が回収されるカタルシスが堪能できると評価された。

初めての読者にも優しい構成と装丁の仕掛け

本作はガリレオシリーズを初めて読む読者にも配慮し、登場人物の関係性や過去の事件の繋がりが丁寧に説明されている。人間の心理描写がリアルで、犯人が凶行に及んだ背景や事情が深く掘り下げられており、各キャラクターが立っていると評された。

単行本のカバーを外すと、事件現場のスーパーマーケットの間取り図のようなスケッチと、湯川が書き込んだような数式がデザインされている。MCがAIで数式を解析しようとしたところ、「複素解析やフーリエ解析の記号がバラバラに配置されており、数学っぽく見せるための装飾である可能性が高い」という回答が返り、笑いを誘う一幕もあった。過去作でもカバー裏に仕掛けが施されてきたことから、読者の間で考察が盛り上がる要素となっている。

番組終盤では『白鳥とコウモリ』(幻冬舎)にも触れ、真実が明らかになることで誰もが幸せになるわけではないという東野作品の哀愁や奥深さが語られた。東野さんが亡くなったことで新作が読めなくなる寂しさはあるが、残された作品はこれからも多くの人に読まれ続けるだろう。