美術家で京都市立芸術大学長の小山田徹さん(65)による個展「DUMB TYPE 1984―1997」が、京都市中京区のギャラリー「ARTR O」で開かれている。京都を拠点とするアーティスト集団「ダムタイプ」の創設メンバーが描きとめた思考の断片は、新たな表現を切り開こうとする若者の高揚感に満ちている。
ダムタイプの軌跡と小山田さんの役割
鹿児島県出身で日本画専攻の学生だった小山田さんは1984年、大学の友人らとダムタイプを結成。美術と音楽、舞踊を結び付けた先鋭的なパフォーマンスは、従来のアングラや商業性の強い演劇とは一線を画し、国内外で高く評価された。舞台美術や舞台監督を担った小山田さんは、98年頃に脱退後、カフェの運営やたき火を通じて、立場の異なる人が集う共有空間の可能性を探究してきた。
ダムタイプは、対等な関係のメンバーが絵や音楽など得意分野でアイデアを共有して作品を作り上げる。会場には、小山田さんがかかわった「睡眠の計画」(初演1984年)から「S/N」(同94年)まで、実現しなかったものも含めて約10件のプロジェクトのために描いたドローイング約100点が並ぶ。
展示内容と背景
造園作業員や中世の詩人らが登場する「庭園の黄昏」(同85年)の衣装プラン、情報化や消費社会をテーマにした「pH」(同90年)の巨大コピー機のような舞台装置の図面のほか、人種やジェンダー問題に切り込んだ「S/N」では、舞台上で対峙するパフォーマーのヒントにしたフェンシング選手の姿などがみずみずしい線で表現される。
本展は、2024年春、美術学部長の退任時にS状結腸がんが見つかったのがきっかけとなった。「余命半年と宣告される中、資料保存を進める初期メンバーが心配して声をかけてくれた」と振り返る。半年にわたって取り組んだ治療が功を奏し、その後現場復帰。昨春からは学長も務める。
新作と今後の展望
学生時代の感性を追体験する新作も制作した。「公演などの完成作も大切だが、最もスリリングなのはアイデアが生まれる瞬間。世界を変えるような思考の出てくるワクワク感が未来につながれば」と語る。10月25日まで。月・火は休廊。