元WBC世界ミニマム級王者・重岡優大氏と、元IBF世界ミニマム級王者・重岡銀次朗氏が、ABEMAオリジナルの密着型ドキュメンタリー『NO MAKE』に出演した。車いす生活を送る弟・銀次朗氏を、兄・優大氏と恋人・サキさんが支える姿が描かれた。
兄弟同時世界王者から一転、試合後の緊急搬送
亀田三兄弟、井上兄弟に次ぐボクシング界史上3組目の“兄弟同時世界王者”として頂点に立った優大氏と銀次朗氏。幼少期から父の厳格な指導のもとで拳を交えてきた二人は、2023年4月にそろって世界チャンピオンに輝き、日本ボクシング界のスター兄弟として脚光を浴びた。
しかし、2025年5月24日、防衛戦に臨んだ弟の銀次朗氏が試合直後に緊急搬送された。急性硬膜下血腫と診断され、何日間も生死の境をさまようことに。頭部を開く手術の末に一命を取り留めたものの、言語障害や車いす生活という重い後遺症を抱えることとなった。
兄・優大氏の引退と、恋人の献身的な支え
弟を介護し支えるため、優大氏は2025年に28歳で現役引退を決意。人生を捧げてきたボクシングを去り、銀次朗氏とともに地元・熊本へ戻った。引退の心境について「俺は自分のことを犠牲にしても家族だったり弟を守ります。ボクシングを俺が一人で夢を追っている場合ではない時点でやめる価値はありました」と語る。
交際7年目の銀次朗氏の恋人であるサキさん(24歳)もまた、大きな決断を下していた。事故後、仕事を辞めて熊本への移住を決意した。「銀ちゃんと離れることになると思ったら、そっちの方がつらくて。『それなら銀ちゃんと一緒にいた方がいい』と親と話して熊本に来ました」と振り返る。現在はヘルパーとして専門的な知識を身につけ、銀次朗氏の介護に励んでいる。
カフェ開店と、未来への夢
サキさんの姿に、優大氏は「僕たちがサキちゃんのことを一番に考えてあげないといけない」「俺が絶対この二人が毎日楽しく過ごせる環境をなるべく早く作ってあげたい」と語りつつ、「だからと言って、サキちゃんが『限界です、東京に帰ります』と言っても、それは全然OK」「俺だったらとっくに逃げ出している。サキちゃんはそれをしていないから、それだけでリスペクト」と深い感謝を言葉にした。
優大氏は銀次朗氏のためにカフェ「Shinonome coffee」をオープン。「(カフェに)弟が来て、ファンも友達も銀とまた会える」「『ボクシングをやっていてよかった』と思える。それで出会った人たちだから」という願いが込められている。かつて週1回ペースで通っていたディズニーランドを思い出し、サキさんは「最終目標は銀ちゃんとディズニーに行くこと」と未来の夢を語った。