盛岡市みたけの大型書店「エムズエクスポ盛岡店」が、岩波文庫の2000タイトル以上をそろえる「全点展開」を開始し、話題となっている。哲学や文学など幅広いジャンルが壮観に並ぶ売り場は、SNSでも反響を呼んでおり、好調な売れ行きにもつながっている。
約2倍に拡大した売り場に哲学・文学がずらり
同店は花巻市の「マルカン」が運営。今月10日から発行元の岩波書店から入荷可能な全タイトルの展開を始めた。約2倍に拡大した売り場には、プラトンの「国家」やマックス・ウェーバーの「職業としての政治」、「リルケ詩集」など、哲学や政治、文学などの作品がずらりと並ぶ。
岩波文庫は、1927年創刊の歴史あるレーベル。15日に同店を訪れた盛岡市の大学生(23)は「全部そろっているのを見て圧倒された。大きな図書館でもこれだけそろうことはなかなかないと思う」と驚きの表情を浮かべた。
きっかけは東京の書店、ちくま学芸文庫で手応え
企画したのは、同店サブマネジャーの菅原誠さん(51)。東京の大型書店「コーチャンフォー若葉台店」が岩波文庫の全点をそろえたユニークな試みに刺激を受け、店内での実現を模索してきた。
試金石となったのは、今年7月下旬に始めた「ちくま学芸文庫」の全点展開だ。現在約1100タイトルをそろえ、今月15日までの約3か月間で260冊以上を販売。以前なら約2年かけて売れる冊数という。菅原さんは「学術書を求める客が盛岡にもたくさんいる」と確かな手応えに背中を押され、岩波書店などと準備を進めてきた。
売り上げ好調、若い世代の姿も目立つ
岩波文庫の全点展開の滑り出しは上々だ。通常月90冊程度の販売数は、開始から4日間で50冊以上に上った。店側が10日、Xで全点展開をPRする投稿をしたところ、1000以上の「いいね」が付くなど多くの反響が寄せられた。これまで年配客が中心だった岩波文庫の棚には、20~30代の若者の姿が目立つようになったという。
岩波文庫などの全点展開は今後も維持する方針で、菅原さんは「エンタメ性が来店客に響いたのかもしれない。本を手に取る実店舗の良さが改めて見直されるきっかけになればうれしい」と期待する。