清水崇監督がカナダ・モントリオールの映画祭で日本人4人目の生涯功労賞 『八つ墓村』ワールドプレミアに800人熱狂
清水崇監督がカナダ・モントリオールの映画祭で日本人4人目の生涯功労賞 『八つ墓村』ワールドプレミアに800人熱狂

カナダ・モントリオールで開催中の「第30回ファンタジア国際映画祭」で、映画『八つ墓村』(9月18日公開)のワールドプレミアが現地時間7月28日に行われた。清水崇監督が登壇し、同26日には日本人として4人目となる同映画祭の生涯功労賞が贈られている。

本作は、ミステリー界の巨匠・横溝正史の同名小説を、金田一耕助の初登場から80周年となる節目に完全新作として映画化したもの。「呪怨」シリーズや『犬鳴村』『あのコはだぁれ?』などを手がけた清水監督が、原作の「怪奇幻想ロマン冒険譚」としての魅力を現代に再構築している。

チケット完売、約800人の観客で満席

ワールドプレミアは平日の夜にもかかわらず、会場前には長蛇の列ができ、チケットは完売。約800人の観客で満席となった会場に清水監督が登場すると、大きな拍手と歓声が巻き起こった。

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清水監督は「ずっと来たかった映画祭に、今回やっと来ることができました。しかも新作の映画を2本も上映していただけて、すごく光栄です」とあいさつ。同映画祭では『八つ墓村』に加え、『口に関するアンケート』も上映された。

名作に挑んだ心境を「小説自体も横溝正史先生も、金田一という探偵のキャラクターもすべてにおいて有名でファンが多い作品です。変なアレンジをしたら横溝先生のファンの方から叱られるんじゃないかと思いながらオファーを引き受けました」と告白。「"今"この作品を映画化するならば、自分が監督をさせてもらうならば、という思いで、いろいろと挑戦させていただきました」と語った。

横溝の次女・野本瑠美さんが初号試写で作品を鑑賞し、絶賛していたことも監督自ら明かした。会場には横溝の孫にあたる野本温さん夫妻も来場。上映後、温さんから「素晴らしい! すごく面白かったです!」と声をかけられ、清水監督と固い握手を交わす姿も見られた。

上映中は笑い声や手拍子が起こり、エンドロールでは客席から鳴りやまない拍手が送られた。上映後のQ&Aでは、観客からロケーションや時代設定などについて質問が寄せられた。

岡山の広兼邸での撮影、木にまつわる質問

撮影について清水監督は「何度も映像化されている横溝先生の作品ということもあり、特に岡山県の広兼邸をはじめ、ロケーションやセットに対するサポート体制が手厚かった」と説明。「非常にぜいたくに撮影させてもらいました」と振り返った。

『口に関するアンケート』では墓地の木、『八つ墓村』では大きな杉の木が印象的に登場することから、「『木』にまつわる特別なつながりや思い入れはあるか」という質問が飛ぶと、「特に正直こだわっているわけではないのですが、双子杉については横溝正史先生の原作に少し違う形で登場するものからヒントを得ています。今ようやく気がついたのですが、木に憑りつかれているのは私かもしれないですね」とユーモアを交えて回答し、客席からは笑いが起こった。

原作や過去の映像作品とは異なり、時代設定を現代に変更した理由も明かしている。清水監督は1977年の野村芳太郎監督版への愛着を語った上で、「過去の作品や原作を知らない若い世代に見てほしいと思いました」と説明。一方で、金田一がインターネットを使ってプロファイリングするような描写ではキャラクターの本質が変わるため、慎重にバランスを取ったという。

さらに、SNSで顔や名前を隠して他人を攻撃する現代社会の風潮を、面で正体を隠して殺人を行う者や、集団で田治見家を襲撃する村人たちの姿に重ねたといい、「これこそ"今"描くべきだと確信したことも、この時代設定に決めた理由」と語った。

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生涯功労賞授賞式、スタンディングオベーション

これに先立ち26日には、清水監督へ生涯功労賞が贈られた。大歓声に包まれて登壇すると、観客は総立ちとなり、スタンディングオベーションで祝福。清水監督は「言葉にならないくらいうれしいです。映画祭30周年おめでとうございます。そんな記念すべきタイミングに、こんなにうれしい場を設けていただき感謝いたします」と喜びを語った。

続けて「僕のフランス語がどこまで通じているかわからないですが、通訳に時間がかかることをお許しください」とジョークを交え、会場を和ませる一幕もあった。

幼い頃は怖がりで、14歳頃までホラー映画を見る人を「変わった人たち」だと思っていたという。15歳で『死霊のはらわた』を見た後、約20年を経てサム・ライミ監督からハリウッド映画を撮る機会を与えられたエピソードを披露すると、会場から再び大きな拍手が起こった。

翌27日が誕生日であることにも触れ、「人生の半分以上、ホラー映画を撮り続けていることになってしまいました」と語ると、観客から日本語で「お誕生日おめでとう!」との声も。「人生何が起こるかわからないとは言いますが、こうして映画を撮り続けて、こんなに喜ばしいことが起こると、明日にでも殺されるんじゃないかと不安になったりもします(笑)。もう少しだけ撮りたい映画もあるので、まだ生かしておいてください」とユーモアを交え、会場を沸かせていた。