トラックから脱走したメンドリを主人公に、人間社会の不条理をコミカルかつシュールに描いた映画「雌鶏」が25日から全国で順次公開される。監督・脚本は「ハックル」(2002年)や「タクシデルミア ある剝製師の遺言」(06年)などで知られるハンガリー出身のパールフィ・ジョルジ(52)。本作では主人公を8羽のメンドリが演じ分け、CGIは一切使われていない。
約2カ月の訓練で個性を引き出す
動物トレーナーとともに約2カ月かけ、個体によって違うメンドリの能力を見極め、訓練したという。鶏は「3歩歩くと忘れる」と記憶力が乏しいイメージが強いが、ジョルジ監督は「最初はそう思っていたが、実は利口な動物ということを今回、発見した。どんな環境の中でも生き延びる能力と子孫を残すという能力にたけていることも分かった」と語る。
工場畜産と難民問題を重ねる
物語の冒頭では、採卵鶏用の狭いケージが登場し、卵やヒヨコが製品のように扱われる「工場畜産」の様子が映し出される。「われわれ人間がニワトリを鶏卵用、食肉用と分類し、利用している暗部を描き、後半で人身売買される難民たちが同じように分類され、利用されている姿に重ねた」とジョルジ監督は説明する。
監督が問いかける現代社会の諸問題
「人間も、ニワトリもとにかく生きながらえたい、といったサバイバルへの衝動がある。ただ人間はニワトリとは違い、過去にも未来にも思いをはせられる。この作品を通して、現代社会の諸問題を解決するのか否かを問いかけているつもりだ」と語った。
本作はトロント国際映画祭プラットフォーム部門で審査員特別賞を受賞。ギリシャ・ドイツ・ハンガリーの合作で、上映時間は1時間36分。