作家・原田マハが初監督を務めた映画『無用の人』が、スペインで開催された「第74回サン・セバスチャン国際映画祭」で、国際批評家連盟賞とアテネオ・ギプスコアノ賞の2部門を受賞した。主演は蒼井優。原田が自著の短編を原作に、脚本も手がけた。
日本映画としては16年ぶりの国際批評家連盟賞
国際批評家連盟賞は、各国の映画批評家で構成される国際映画批評家連盟(FIPRESCI)が選ぶ独立賞。日本映画としては、2010年に河瀬直美監督作『玄牝 -げんぴん-』が受賞して以来、16年ぶりの受賞となる。1998年には是枝裕和監督作『ワンダフルライフ』も同賞を受賞していた。
もう一つのアテネオ・ギプスコアノ賞は、地元の文化団体が選出する賞。配給元によると、今回は審査員5人の全員一致で決まったという。
原田監督が受賞の喜びをコメント
現地時間9月26日の授賞式に出席した原田監督は、「幸せな読書体験を届けるために、小説家として、20年間書き続けてきました。今度は幸せな映画体験を届けたいと思いサン・セバスチャンに来ましたが、私が最も幸福な映画体験をさせていただきました!」と喜びを語った。
さらに「芸術と平和、そして映画を愛するサン・セバスチャンでのプレミアは非常に意義がありました。2つも賞をいただき、最高にうれしいです!」とコメントしている。
原作は短編集収録の一編、海外配給も決定
本作の原作は、原田の短編集『あなたは、誰かの大切な人』(講談社文庫)に収録された一編「無用の人」。蒼井演じる主人公・聡美は、勤め先の美術館に届いた謎の鍵をきっかけに、亡くなった父の記憶をたどり始める。やがて、家族も知らなかった父の晩年の姿が明らかになっていく。
同映画祭で現地時間9月21日にワールドプレミアが行われた。今後は第31回釜山国際映画祭の「アジア映画の窓」部門でも上映される予定で、フランス、韓国、台湾、香港での配給も決まっている。