画家は、頼まれていた鳥の剥製がついた帽子を受け取りながら、新しい服のデザインを楽しげに語る女性の瞳を見つめた。その目は高揚に満ちて光を放ち、画家の姿も瞬くように映るが、画家は「あの瞳とは違う」と感じる。
人形を求める画家
女性が「なにを笑っているの?」と問うと、画家は「俺は人形が欲しいんだ」と答える。女性は「絵に使うの? このホテルって天使が現れるんでしょう。天使のモデルにするの?」と尋ねるが、画家は答えない。女性は「古いので良かったら持ってくるわよ。髪は巻毛? ガラスの目玉は何色がいい? 小さい頃のがたくさんあるの。服はわたしが作ったのよ」と申し出る。画家は「ブルーの瞳がいい」と頼んだ。
煙を探す日々
その日から画家は煙を捜しはじめた。昼間は用もないのに地下に降りてジャム瓶に怒鳴り散らされ、料理長の目を盗んでは厨房を覗いた。夜が更けてバーの扉が閉まると、画家は従業員用階段ではなく客用の赤い絨毯が敷かれた階段を何度も上り下りした。針金に注意されても、その細長い影が去っていくと、またシャンデリアに照らされた赤い段を踏み続けた。
鍵のかかった客室
寝静まった明るい客室廊下で、青い瞳の子供がじっと見つめている気がした。画家は当たりをつけてドアノブを握るが、どの部屋も鍵がかかっていた。画家は悪態を飲み込み、扉を蹴りたい衝動を抑える。開けられるのは屋根裏の作業部屋だけだった。疲れきった画家は酒をあおり、絵の具油の匂いの中で眠った。
夢の中でも画家はホテルの階段を上り、廊下を歩いていた。赤い絨毯に吸われて足音はしない。果てしなく捜し歩くうち、呼ばれた気がして振り返ると、扉の一つがゆっくりと閉じていくところだった。走ってドアノブを掴んで引くと、夜風が頰を撫でた。暗い客室の中でカーテンがひるがえり、その中に小さな人影があった。



