スモーキングルーム第48回:画家と見習いドアマンの対話、夜の厨房で出会う子供
スモーキングルーム第48回:画家と見習いドアマンの対話、夜の厨房で出会う子供

見習いの青年ドアマンが休憩室で画家に、「今日、あんたの部屋に行った女性さ、なんか見覚えがある気がするんだよなあ」と尋ねた。

画家は「お、優秀じゃねえか」と青年ドアマンの背中を叩いた。しかし、青年ドアマンは帰っていく女性の髪が乱れていたことを思い出し、「あれ、でも……」と言い淀んだ。客室係の男性も「あの人、夫は街の代議士のはずだぞ」と会話に加わった。

画家の持論

画家は「描かせてくれるって言うからな。俺にとっては商売女も、いいとこの奥様も変わんないよ。空っぽならいいんだ。空っぽな奴は本能的にわかっているからな。目の前の男を満たす方法を。だから、こっちのどんな要望にも従ってくれる。女はだいたい空っぽだよ。骨と肉でできた、媚びを売るだけのつまらん人形だ。だが、そこがいい」と吐き捨てるように言い、葡萄酒の瓶に口をつけて飲んだ。

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年嵩の従業員たちは「ただ女と遊ぶだけにも芸術家は難しい文句をつけるもんだな」と笑い、画家も「羨ましいだろ」とふざけた。

夜の厨房での出会い

その晩、酔って眠ってしまった画家は、夜更けに空腹で目を覚ました。寝乱れた寝台から立ち上がり、従業員用階段を使って一階へ行き、足を忍ばせて厨房へ向かった。

厨房の照明は消えていたが、窓から月明かりが射し込んで、銀色の流しや厨房機器を冷たく輝かせていた。肉の脂や炒めた野菜の残り香に鼻をひくつかせていると、背後で微かな音が聞こえた。

画家が振り返ると、小さな子供が立っていた。柔らかそうな髪が月光の下、白銀に光る。フリルのついた絹のシャツに、織りの胴衣。昔の貴族のような服装に、画家は父親を思い出して嫌な気分になった。そもそも子供は苦手だった。

無視しようとするのに、子供は興味深そうに画家を見つめてくる。目が合った。凍りついた湖のような色の瞳だった。そこに汚れた作業着姿の男が映っている。男は小肥りで、頭頂は禿げ、耳と鼻の下は髭に覆われていた。ぼんやりと見つめ、俺か、と気付く。当たり前のことだ。まだ酒が抜けてないのか、と画家は子供から顔を背けた。

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