農口尚彦さん、人間国宝に 「生活文化」分野で初、日本酒本来の味を守る
農口尚彦さんが人間国宝に 生活文化分野で初の認定

16日の文化審議会の答申で、「生活文化」分野で初めてとなる重要無形文化財保持者(人間国宝)が誕生することになった。選ばれた吟醸造りの農口尚彦さん(93)は、研さんを積んできた技が「文化財」として認められたことに喜びをかみしめた。

70年以上にわたり酒造りに打ち込んできた農口さんは「本当にうれしい。日本酒の本来の味を守っていきたい」と喜びを語る。

祖父と父も杜氏、吟醸酒ブームの先駆者に

祖父と父も杜氏で、16歳から酒造りに関わるようになった。静岡県や三重県の酒蔵を経て、28歳で石川県の「菊姫」の杜氏に。1960年代に吟醸酒を販売し、後のブームの先駆者となった。

「麹で酒の味が決まる」温度管理に細心の注意

「麹で酒の味が決まる」と温度管理に細心の注意を払う。手作業にこだわり、「機械では分からない感覚がある。酒の深みが全く違う」。データは毎日欠かさずノートに記録している。

技術継承の酒蔵で弟子7人と寝食共に

現在は技術の継承を目的とした酒蔵「農口尚彦研究所」(石川県小松市)の杜氏を務め、酒造りの時期は弟子7人と寝食を共にする。「市場は海外に広がっている。世界の人に喜んでもらえる日本酒を造りたい」と力を込める。