JA全中の新会長に神農佳人氏が正式就任、備蓄米放出を支持
全国約500のJA(農業協同組合)を支える「JA全中」の新会長に、2026年3月6日付でJA長野中央会会長の神農佳人氏(68歳)が正式に就任しました。全中のトップ交代は約2年7カ月ぶりのことで、神農氏はこの日の臨時総会で選任され、任期は2029年8月までの予定となっています。
備蓄米の安値放出を「間違っていない」と評価
神農新会長は、昨年に政府が実施した備蓄米の随意契約による安値での放出について、「間違っていない」と明確に評価しました。この発言は、米価の高騰が続く中、消費者の買い控えが懸念される状況を背景にしています。神農氏は、もし米価高騰が深刻化した場合には、政策面での対応を促す考えを示しており、農業政策の柔軟な調整を求める姿勢を打ち出しました。
農協改革後のJA全中の役割と課題
JA全中は、JAグループの全国組織の一つとして、かつてはグループの司令塔的な存在でした。しかし、2019年の「農協改革」により、各地のJAへの指導・監査権を失い、現在は主にJAの経営支援と政策提言を担う組織へと衣替えされています。この改革後、全中は各地のJAが利用できるシステムの開発に失敗し、山野徹・前会長(70歳)が今年8月までの任期を満了せずに退任を表明する事態となりました。
神農氏は、後任を決める選挙に唯一立候補し、新会長に内定していましたが、この日の臨時総会を経て正式に就任が決定しました。彼のリーダーシップの下、全中はシステム開発の失敗などの課題を克服し、米価問題を含む農業政策への提言を強化することが期待されています。
米価高騰と消費者への影響
米価の高騰は、消費者による買い控えを引き起こす可能性があり、農業界全体にとって深刻な問題です。神農新会長は、この点を強く懸念しており、政府の備蓄米放出が市場の安定に貢献するとの見解を示しました。今後、全中は農林水産省などと連携し、米価の適正化や消費者の負担軽減に向けた政策を推進していく方針です。
この動きは、複雑なコメの流通構造に変化をもたらす兆しとも言え、卸売業者など関係者の間では危機感が高まっています。神農氏の就任は、農協改革後の新たな段階を迎えるJA全中の方向性を定める重要な一歩となるでしょう。
