福島・川俣町の工場跡地に都内アパレル企業が進出、藍染め工房で復興の新たな一歩
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で長らく稼働停止していた福島県川俣町山木屋の工場跡地に、都内のアパレル企業が進出することが決定した。この跡地には古民家風の工房が建設され、藍染め製品の製造が行われる予定だ。これまで活用方法が決まっていなかった工場の担当者は、「震災から15年が経過し、ようやく再スタートを切ることができる」と喜びを語っている。
田園風景に魅了され、進出を決断
「川俣、山木屋の田園風景を見て『ここだ』と確信した」。17日に川俣町を訪れたアパレル企業「フォーティファイブアールピーエムスタジオ」(東京都港区)の取締役、中島正樹さん(58)は、社長の高橋慎志さん(60)の思いを代弁する。同社は「45R」のブランド名でジーンズなどの販売を手がけており、藍染めに特化した工房の建設は初めてのプロジェクトとなる。
中島さんは、「川俣は元々、絹織物の町として知られており、藍の生産にも適した環境だ」と話し、この地との縁を感じている。フォーティファイブ社は日本製のカジュアルウエアを世界に展開するため、2000年に藍染めのジーンズを主力商品として海外進出を果たした。日本の伝統である藍染めに強いこだわりを持ち、「インディゴ染めなども商品化しているが、藍染めは独特の風合いを生み出す」と強調する。
地元企業との連携でプロジェクト実現
藍染め文化の存続と継承を目指し、数年前から自社工房の建設を構想していた同社にとって、取引先である川俣町の縫製企業「フクシマフロンティア」の技術力が大きな後押しとなった。フクシマフロンティアは正確で高度な縫製技術を駆使し、フォーティファイブ社に製品を提供しており、その品質の高さに感銘を受けたという。
フォーティファイブ社は昨年2月、県内に自社の縫製工場を設立。さらに、川俣町の工場跡地が未活用だったことから、フクシマフロンティアから土地を購入し、工房建設を決断した。工房は植物を重ねて作る「葭葺(よしぶき)屋根」を採用し、周囲の田園風景に調和する古民家風に仕上げられる。
多様な製品と体験プログラムを計画
工房では、看板商品であるジーンズに加え、以下のような製品の製造が予定されている:
- Tシャツ
- ジャケット
- スカーフ
また、工房を訪れた人々が藍染めを体験できるプログラムも実施する計画だ。現在、工場跡地は更地となっており、5月ごろの着工、来年4月の稼働開始を目指している。工房の横には藍畑も整備され、藍の生産から一貫した取り組みが行われる。
地元雇用と経済効果に期待
総事業費は約6億円と見込まれ、操業開始後は従業員や藍畑の管理など、雇用の半数程度を地元から採用する予定だ。フクシマフロンティアの矢野正一郎社長(54)は、「止まっていた時間が動き出し、地域に新たな活力が生まれることを期待している」と語り、プロジェクトへの期待を寄せた。
この進出は、震災と原発事故からの復興に向けた重要な一歩として、地域経済の活性化と伝統技術の継承に貢献することが期待される。



